【教採キーワード―調べ確認してみよう(14)】教育課程編成の原則

【教採キーワード―調べ確認してみよう(14)】教育課程編成の原則
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 各学校で教育課程を編成する際には、誰が、どのような基準に従って編成するのか、その基本的な原則を踏まえることが必要である。この教育課程編成の原則は、学習指導要領総則の「第1 小学校教育の基本と教育課程の役割」(高校は「第1款」)の冒頭の「1」に次のように記されている。

 「各学校においては、教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い、児童の人間として調和のとれた育成を目指し、児童の心身の発達の段階や特性及び学校や地域の実態を十分考慮して、適切な教育課程を編成するものとし、これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとする。」高校の場合は、「学校や地域の実態」の前に「課程や学科の特色及び」とされている。

編成の主体と法令に従う

 冒頭に「各学校」とされていることから、一つ一つの学校が自校の教育課程を編成することが分かる。教育課程の実際の編成作業は、教職員が協力しながら行う、教職員を監督するのは校長であるから、最終的には校長が責任者となって編成することになる。従うべき法令は、教育基本法、学校教育法が示されており、「その他の法令」とは学校教育法施行規則、地方教育行政の組織及び運営に関する法律などを指している。「この章以下に示すところ」とは、総則が第1章で、第2章以下の各教科、特別の教科道徳、総合的な学習の時間、特別活動の内容を指している。

人間として調和のとれた育成を目指す

 「人間として調和のとれた育成」とは、教育基本法の教育の目的や学校教育法の義務教育の目的を指しており、各学校の教育課程の編成はこの目的を目指して行われることを意味する。具体的には、総則に示す「生きる力」の育成や、知識・技能や思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性の3つの資質・能力を、教育課程の編成・実施を通じて偏りなく育てることを指している。

児童の心身の発達の段階や特性、学校や地域の実態を十分考慮

 「児童の心身の発達の段階」とは、生来の発達に加えて学校での学習や体験などを通じた発達の段階の意味であり、教育内容編成の基本といえる。児童生徒の現在の発達の水準を踏まえて、他者からの働き掛けや協働、主体的な学びによって到達可能な水準に導くことが教育と学習の本質といえる。「特性」は、児童生徒の能力や適性、興味・関心、性格などを指している。

 学校の実態とは、学校の人的・物的な実態であり、児童生徒や教職員の状況、学校規模、施設設備の状況などのことである。学校規模の大きさは、例えば特別活動の実施や複数学年による学びの在り方などに影響を及ぼす。施設設備については、情報環境の設備や学校の図書室の状況などを踏まえた教育課程の編成が可能である。

 地域の実態とは、学校を取り巻く地域の自然環境や生活環境、文化的環境などのことであり、実際の教育活動においてこれらの環境を生かした取り組みが可能である。また、学校が家庭や地域社会と連携した教育を展開することは当然のことであり、この点からも地域の実態を十分考慮した教育課程の編成が求められている。

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