現行の学習指導要領の特色に一つに、総則において「カリキュラム・マネジメント」の語を用いて教育活動の質の向上を図ることを明記したことが挙げられる。これまでも例えばPDCAサイクルの充実を通して、教育活動の質の向上を図るといったことが指摘されてきた。このような取り組みをカリキュラム・マネジメントとして明確にしたことが、現行学習指導要領の特色といえる。
学習指導要領第1章総則の「第1」の箇所に次のように記されている。
「各学校においては、児童や学校、地域の実態を適切に把握し、教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと、教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと、教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して、教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくこと(以下「カリキュラム・マネジメント」という)に努めるものとする」
ここでカリキュラム・マネジメントとは「教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図る」こととされている。
その内容は3点にわたって示されている。
第1は、「教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと」である。ここで「教科等横断的な視点」とは、例えば言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力などの教科等横断的な資質・能力の育成を目指したり、各教科などと総合的な学習の時間の関連を図ったりすることを指している。
第2は、教育課程の実施状況を評価してその改善を図ることである。「教育課程の実施状況を評価」するとは、教育課程の実施が計画的に進められているか、授業を通じて教育目標がどのように実現されているかどうかを評価することを指している。
第3は、教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制の確保と改善のことを指している。人的、物的な体制とは、教職員の体制や施設設備、教材・教具の整備の状況などのことであり、これらの充足状況、活用状況を把握し、改善を図ることを指している。
学習指導要領総則には、学校運営と関連させてカリキュラム・マネジメントの実施が示されている。
第1は「校長の方針の下に、校務分掌に基づき教職員が適切に役割を分担しつつ、相互に連携しながら、各学校の特色を生かしたカリキュラム・マネジメントを行う」としている。これは各学校における教科や学年、教務、生徒指導、進路指導、研究などの校務分掌に基づいて、校長の方針の下に計画的に進めることを示したものである。
第2は、学校評価との関連を示している。「各学校が行う学校評価については、教育課程の編成、実施、改善が教育活動や学校運営の中核となることを踏まえ、カリキュラム・マネジメントと関連付けながら実施するよう留意する」としている。学校評価は学校教育法施行規則第66条~第68条に基づき、自己評価、学校関係者評価として実施・公表されるが、その際に、教育活動における教育課程の意義と役割を踏まえて、カリキュラム・マネジメントと関連付けながら実施することを明確にしている。