道徳教育は、学校の教育活動が目指す「生きる力」を構成する3つの要素のうちの1つとして位置付けられている。学校における道徳教育の在り方については、学校の教育活動全体で進めるという小中高校に共通する内容と、「特別の教科道徳」が設置されている小中学校、及び人間としての在り方生き方に関する教育として進める高校について理解しておく必要がある。確認しておきたい資料は、学習指導要領の総則および小中学校の場合は、学習指導要領の「特別の教科道徳」の内容についてである。
学習指導要領第1章総則の「第1―2―(2)」の箇所に次のように記されている。
「学校における道徳教育は、特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳科はもとより、各教科、外国語活動、総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて、児童の発達の段階を考慮して、適切な指導を行うこと」
ここから、道徳教育は学校の教育活動全体で行うこと、その道徳教育の「要」が「特別の教科道徳」であることが分かる。また、「第2―3―1―カ」ではこの道徳教育の内容は、「特別の教科道徳」の内容であることが示されている。
さらに、総則には第6として「道徳教育に関する配慮事項」が示されている。学校としての全体計画を作成すること、及び全体計画に示す事項が明確にされている。全体計画には、児童生徒や学校、地域の実態、学校としての道徳教育の重点目標、道徳科の指導方針、各教科等における指導内容及び指導の時期、家庭や地域社会との連携の方法を示すとされている。加えて、道徳教育推進教師を中心に全教師が協力して道徳教育を展開するとしている。各学校では、道徳教育の全体計画とともに、各教科等における関連する指導の内容及び時期を整理した別様を作成するなどして、指導の具体化を図っている。
高校の場合、次の「第1款―1―(2)」に示されているように「人間としての在り方生き方に関する教育を学校の教育活動全体を通じて行う」として、次のように示している。
「学校における道徳教育は、人間としての在り方生き方に関する教育を学校の教育活動全体を通じて行うことによりその充実を図るものとし、各教科に属する科目(以下「各教科・科目」という。)、総合的な探究の時間及び特別活動(以下「各教科・科目等」という。)のそれぞれの特質に応じて、適切な指導を行うこと」
全体計画を作成すること、道徳教育推進教師を中心とした展開は小中学校と同じである。全体計画作成に当たっては、「公民科の「公共」及び「倫理」並びに特別活動が、人間としての在り方生き方に関する中核的な指導の場面であることに配慮すること」とされている。
このことと関連して、公民科及び特別活動の目標には「人間としての在り方についての自覚」が記されている。