情報を押さえる者が試験を制す HPを軸に主な情報源を紹介

情報を押さえる者が試験を制す HPを軸に主な情報源を紹介
iStock.com/Galeanu Mihai
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 情報収集はどのような分野においても重要であるが、教員採用試験もその例外ではない。情報の収集力が合否を分けるポイントともなる。自治体の採用および試験情報を入手し、記載された内容を的確に把握しなくてはならない。具体的な試験においても、筆記、論作文、面接などいずれの対策でも、有効な情報を収集して活用していくことが求められる。幅広くアンテナを張っておくようにしたい。ホームページなどを中心に有用な情報源を見てみよう。

まずは宝の山・文科省サイトを押さえる

 教採試験の受験者であれば、まず文部科学省のサイトを確実に押さえる必要がある。関連の情報が満載である。

 トップページの項目を見ると、「教育」「科学技術・学術」「スポーツ」「文化」「その他(国際、災害、分野総合)」と同省で扱う分野が示されており、クリックするとそれぞれのカテゴリーが示される。

 教採で最も関連の深い「教育」を選ぶと17のカテゴリーが示される。「教育に関する基本的政策」「幼児教育」「小学校、中学校、高等学校」「特別支援教育」「教師の養成・採用・研修等」などである。さらに「小学校、中学校、高等学校」をクリックすると、「確かな学力、豊かな心の育成」のもと、「学習指導要領」「学力調査」「教育のデジタル化」「学校における働き方改革、教師の処遇改善、学校の指導・運営体制の充実」「生徒指導等」「特別支援教育」などの項目が提示される。これらをクリックしていけば、各項目における重要事項の解説や資料(答申、通知など)にアクセスできる。いずれも押さえておきたい内容ばかりだ。必要に応じて、ダウンロードしたり印刷したりするとよい。

 例えば、「学習指導要領」の項目では、「学習指導要領『生きる力』」「総合的な学習の時間」「外国語教育」「道徳教育」「環境教育」「放射線教育」「産業教育の振興」「社会的自立と社会参画の力を育む教育」などの内容がある。「学習指導要領『生きる力』」をクリックすると、現行の学習指導要領につき、「学習指導要領とは」の解説に始まり、概要や趣旨の分かりやすい説明が収載されている。もちろん本文も格納されているので、全文の閲覧、ダウンロードができる。これらだけでも学習指導要領の勉強が十分できる。

 「生徒指導等」には、「生徒指導提要」「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」「暴力行為」「いじめ問題を含む子供のSOSに対する文部科学省の取組」「不登校」「高等学校中途退学」「子どもの自殺予防」「子どもの携帯電話・インターネットをめぐる問題」などの内容があり、受験者は確実に押さえておきたい。

 報道された文教行政関連の時事については、「会見・報道・お知らせ」の「報道発表」にアクセスすれば、年月日順に時事を探すことができ、報道関連資料も閲覧できる。このほか、中教審の各種諮問・中間まとめ・答申、各文教施策に関する通知・通達、協力者会議等のまとめ・報告、学校や児童生徒数をまとめた学校基本調査はじめとする文教関連の統計データなどがこのサイトで閲覧できるので、まさに教育情報の宝の山である。

受験者は必見「教育人材総合支援ポータル」

 特に昨年新たに開設された「教育人材総合支援ポータル」は必見である。文科省サイト内に、教職に関する情報発信や、教師のなり手確保の支援の一つとして開設されたもの。このポータルサイトでは、各教育委員会の教員採用や講師などの募集に関する基本情報や教職PR 情報などが分かるほか、教師を取り巻く政策に関する情報などが確認できる。

 掲載コンテンツは大きく分けて、▽各教育委員会の「教員採用」に関する情報▽各教育委員会の人材バンクに関する情報▽文科省の「学校・子供応援サポーター人材バンク」に関する情報――などである。情報は都道府県や政令市ごとにまとめられており、試験の変更点や日程、募集要項といった採用試験に関する情報、各教委がPRのために行っている教員インタビューや説明会動画などが視聴できるので、受験先の決定やその調査に大変役に立つ。ぜひ活用してほしい。

資格認定試験で腕試し

 ちょっと変わったところでは、「教員資格認定試験」のページがある。ここでは同省が実施する教員資格認定試験(幼稚園、小学校、特別支援)の問題および正答が閲覧できる。実際の試験傾向は各自治体によって異なるが、文科省として教員ならば最低限この程度の知見は備えていてほしいという目安が分かる。トライしてみて、全然できなければ、改めて勉強に力を入れなくてはならない。

 文科省サイトは情報の山なので、これが必要というものを押さえて検索するとよいだろう。そうでないと、情報が多過ぎて適切な取捨選択ができなくなってしまう。必要な情報がサイトのどこに掲載されているのかを把握して、「お気に入り」などに登録しておくとよい。

採用情報だけではない教委サイト

 受験を考えている自治体の教育委員会のサイトは、誰もが必ず見ることであろう。前述の「教育人材総合支援ポータル」からもアクセスすることができる。自治体ごとの採用人員、試験の日程、内容、受験申し込みの仕方など教員採用試験に関する情報は、ほとんどサイトにアップされる。教採試験の説明会の日程なども告知されるので、受験を考えている自治体のサイトは頻繁にチェックしなくてはならない。

 合わせて、その自治体に関する基本的なデータなども入手する。小中高校の学校数、児童生徒数、教職員数など。こうした基礎データを知っていることは論作文や面接で役に立つことがある。各自治体では、教育振興基本計画を策定しているので、これも入手する。どのような教育を目指しているのかが分かる。「求める教師像」も掲載されているので、これらもぜひ把握しておく。

国際調査結果などを研究所関連サイトで

 教育研究所関係のサイトも有用だ。例えば国立教育政策研究所のサイトでは、全国学力・学習状況調査の詳細や、学力関連で注目を集める国際関係の調査結果も閲覧できる。各教科等の指導、いじめなど生徒指導関連など有用な資料がある。主なものは、「全国学力・学習状況調査」「教育課程実施状況調査」「指導資料・事例集」「研究指定校事業」「IEA国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」「OECD生徒の国際学習到達度調査(PISA)」「OECD生徒の学習到達度調査」「OECD国際教員指導環境調査(TALIS)」「『生徒指導リーフ』シリーズ・『生徒指導リーフ増刊号』シリーズ」などがある。

 都道府県立および政令市立教育研究所のサイトもお薦めだ。その自治体の児童生徒や教職員を対象にしたアンケート調査結果や先進的な教育実践・研究などが掲載されているので、参考になるだろう。特に、学習指導案が数多く掲載されている点が役に立つ。2次試験では学習指導案の作成が求められたり、模擬授業が課せられたりすることも多い。教育実習に行く際も学習指導案の作成が求められるので、参考にしたい。

教育法規を検索する

 法令データを提供している「e―Gov 法令検索」も役に立つ。当然だが、学校教育は法令によって運営されているので、法規の知識は備えておく必要がある。このサイトは、日本の現行の法令が全て収載されている。法令名を入力すれば、必要な法令が検索可能だ。

 また、用語検索では、キーワードを入れれば該当する法令が示される。例えば、研修の語源である研究と修養を入力すると、「教育公務員特例法」「教育基本法」の2件にヒット。該当部分が黄色で目立つように示され、クリックすると条文が提示される。

指導に役立つ教科書会社、教材会社サイト

 教科書や教材を発行する出版社は、それぞれサイトを開設しているが、授業関連で役に立つ。教科書会社サイトでは、各学年の年間指導計画、教科書の各単元に関する内容解説資料などを配し、指導の重点が分かる。ワーク、ドリル、テストなどを発行している教材会社のサイトでは、「単元ごとの評価規準」「調べ学習に役立つリンク集」などを掲載。教科書、教材ともに指導に役立つ資料が豊富である。教材研究の際に目を通すとよいだろう。

学校保健にも目を向けたい

 日本学校保健会が開設している「学校保健ポータルサイト」にも注目しよう。養護教諭や保健体育を受験する者はもちろんであるが、現在は安全や健康は非常に重要なテーマなので受験者全員が目を向けてほしい。

 「テーマ別関連ページ」をクリックすると、「保健管理」の分野では、「感染症」「アレルギー疾患」「性」「メンタルヘルス(精神保健)」などが、「保健教育」の分野では「保健教育」「食育」「安全教育」「喫煙、飲酒、薬物乱用防止教育」「エイズ・性教育」「メンタルヘルス・心の健康教育」「がん教育」などが示される。いずれの内容も現在学校教育で重要なテーマである。確実に押さえておけば、面接、論作文で必ず役に立つ。

学校関連のサイトもぜひ閲覧する

 教育実習に行く際は、当該校のサイトを閲覧しよう。現在はほとんどの小中高校がホームページを開設している。各校の学校紹介(教育目標、児童生徒数、主な沿革など)、地域紹介、学校だより、校内研究、授業改善プラン、保護者による学校評価、学校行事などが掲載されている。あらかじめ見ておくとよい。ただし、その情報量や更新の頻度などが学校によって大きな差がある。数年、更新されていないのではないかと思われる学校もあるので、注意が必要である。

大学のサイトも必ずチェック

 身近な情報源としては、自身が所属する大学のサイトがある。教員採用試験に関わる学内情報、例えばガイダンスなどの案内はサイトにもアップされるので確認したい。大学によっては、教採試験に関して、受験の心構えや準備、エントリーシートの書き方、面接対応など具体的な情報を掲載している。これらも役立てていきたい。

先輩に話を聞こう

 インターネットは便利ではあるが、これだけに頼らない方がよいだろう。最後に、人から直接話を聞くことの重要性を指摘しておきたい。大学の先輩で教職に就いている方、できれば志望する自治体の学校に勤務している方にぜひ話を聞きたい。受験勉強では何を重点に置いたか、どのような方法で勉強したのか、面接はどのように練習したかなど受験関連の情報を、また、学校に勤務して何が課題であるか、児童生徒の実態などについても教えてもらうとよい。

 大学の教官、進路指導担当者にお願いして紹介してもらおう。先輩たちは意欲のある後輩が合格することを願ってくれるはずなので、おそらく親身に相談に乗ってくれる。ただし、現場で勤務する教員はかなり忙しいので、礼節を持ってお願いすることが大事である。

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