第10回 解決志向を基に行動選択ができるようになろう

第10回 解決志向を基に行動選択ができるようになろう
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 今回でこの連載も最終回です。最終回でお伝えしたいのが、必要以上の怒りを抱えることなく、解決志向を基に行動の選択ができるためのトレーニングです。

 怒りを感じることがあり、「これは許容できない」「?あるべき」と思ったとしても、自分の力ではどうにもならないことは多々あります。アンガーマネジメントは怒りを完全になくせるようにする魔法のメソッドではありません。怒りと上手に付き合うための心理トレーニングです。自分の力ではどうにもならないことに対して、必要以上に大きな怒りを抱かず、いかにうまく付き合っていくかが重要なポイントです。

 イラっとするとき、怒りを感じたとき、自分が何か行動することによって変えられるのか、変えられないのか。また、重要なのか、重要でないのかを見極め、下の図のどこに入るのかを仕分けします。

行動のコントロール図(出典元:日本アンガーマネジメント協会)
行動のコントロール図(出典元:日本アンガーマネジメント協会)

 ある教師の方は、何度注意しても同じことを繰り返す生徒がいて、「コントロールできない・重要」という箇所に入れました。「なぜ注意しても同じことを繰り返すのだろう」「なぜこんな性格なのだろう」「なんで分かってくれない?」というように「なぜ?なんで?」と思い続けても現状は変わらず、怒りとストレスがたまるという状況です。この箇所に入れることについては、自分の力ではコントロールできない、変えられないという現実を受け入れ、これ以上の怒りやストレスを抱えないためにどうすればいいのか、何ができるのかについて考え、行動の選択をしましょうということです。これが解決志向を基にした行動選択です。

 もし自身が何か行動することによって「変えられる・コントロールできる」と判断したならば、「いつまでに、どの程度変わっていたらいいのか」という目標設定をし、そのために何をしたらいいのか、具体的な行動計画を立てて取り組みます。

 同じことを経験したとしても、どこに入るかは人それぞれ異なります。どこに仕分けてもよいのですが、その選択が自身や周囲にとって長期的に見て健康的な選択かが大切な判断軸です。力づくでコントロールをしようとか、自分が我慢さえすれば…という考えでの仕分けはそれに該当しません。

 必要以上の怒りを抱えず、解決志向を基にした行動選択ができるように取り組んでみませんか。(おわり)

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