思春期を迎えると小学生時代とは異なり、自分の力で解決しなければならない課題が増えていきます。友人関係や学業、部活動に加え、進路や将来への漠然とした不安も大きな負担となりがちです。このような時期を支える鍵の一つが、「何かに夢中になること」です。
ハーバード大学の研究によれば、人は何かをしている最中でも、その約半分の時間は余計なことを考えていることが多いとされています。そして、こうした「雑念」にとらわれている人ほど幸福度が低いという結果が示されています。一方で、何かに集中しているときは余計なことを考える余地がなく、不安や悩みから解放されやすいという点が注目されます。「一心不乱」「一所懸命」「無我夢中」という表現があるように、目の前のことに没頭しているとき、私たちはその瞬間を全力で生きることができているのです。
悩みや不安を抱える原因の一つは、「余計なことを考える隙があること」かもしれません。頭に余白があると、自然と余計なことを考えてしまいます。しかし、何かに打ち込むと、それが脳内のリソースを占有し、不安が入り込む隙間がなくなります。脳は一度に一つのタスクを効率的に処理するよう設計されているため、集中している間は他の思考が抑えられるのです。そのため、子どもが集中できる環境や工夫を提供することが、彼らの心の安定につながると言えます。
集中して取り組んだ経験や成果は少しずつ積み重なり、やがて人生における大きな財産となります。若い頃に全力で何かに取り組むことで得られるものは、その時点では大した価値を持たないように感じるかもしれません。しかし、時間がたち、人生の異なる局面においてその経験が役立つことは多々あります。それは、未来への小さな種をまくようなものであり、どのような花が咲くかは予測できませんが、必ず何らかの形で実を結ぶでしょう。
また、人生で成功を収めるための決まった方程式はありませんが、どんな目標においても欠かせない要素があります。それが「努力」です。その努力が勉強であれ、スポーツや趣味であれ、何でも構いません。大切なのは、自分が夢中になれるものを見つけ、全力で取り組むことです。こうした活動は、心の健康を保つだけでなく、将来の可能性を広げる大切な一歩となります。