第7回 読書のススメ

第7回 読書のススメ
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 若者が読書をするようになってきています。全国学校図書館協議会の2024年6月の調査によると、小学生・中学生共に増加傾向にあるそうです。小学生は調査が始まって以来最高で、学校現場の先生方の努力が報われたということだと思います。

 読書にはこれまでの学術研究から、学力はもちろん、発想力や創造力の向上、ストレスの軽減、集中力の向上、睡眠の質の改善など多くのメリットがあることが分かっています。読書は、国語の成績の向上だけでなく、数学など他の教科にも良い影響を与えるそうです。読書を通じて論理的思考力が養われるためです。また、文部科学省が静岡大学と共同で行った調査によると、平日に1時間ほど読書をする子どもは、学業成績が良い傾向があることが分かっています。さらには学力面だけでなく、他者への共感力や無償で誰かを助ける行動(利他行動)を促進するという研究結果も示されています。つまり、読書をすることで心が豊かになり、学力が向上し、人にも優しくなれるというわけです。読書は単なる学習ツールにとどまらず、メンタルを整え、人生を豊かにすることにもつながるのです。

 近年では、電子書籍を活用して読書をする人も増えていますが、ノルウェーのスタヴァンゲル大学の研究によると、紙の本の方が内容に没入しやすく、理解度や記憶の定着率が高いことが明らかになっています。これは、タブレット端末のような電子媒体では、スクロール操作の影響で読んでいる箇所の空間的な把握が難しくなることが原因だと考えられています。紙の本は現在の読書位置が視覚的・触覚的に把握しやすく、記憶を助ける要素となるのです。人間の記憶は内容そのものだけでなく周囲の状況とも関連付けられるため、物理的に固定された状況で読書する方が記憶に残りやすいようです。

 もちろん、情報収集や短時間の読書であれば電子書籍も有用です。外出時に少し時間ができたときなどは、電子書籍で気軽に読書を楽しむのも悪くありません。一方で、じっくりと作品世界を堪能したい場合や、深く内容を理解したい場合は、紙の本を選ぶのがよいでしょう。いずれにせよ、自分のライフスタイルや好みに応じて読書方法を選ぶことが重要です。

 楽しみながら基礎学力も生きる力も伸ばせる読書。教師としては、子どもたちが読書の楽しさを発見し、それを日々の生活に取り入れられるよう支援したいところです。

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