私が現在勤務する埼玉県立浦和第一女子高校(以下、本校)は、創立120年を超える女子伝統校で、ほとんどの生徒が国公立大学進学を志望する超進学校です。読書好きな方には、児童文学者・翻訳家として有名な石井桃子さん、最近では小説家の須賀しのぶさんや石田夏穂さんの母校であるとお伝えすると、学校のイメージが湧くかもしれません。
本校は以前から文部科学省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)とSGH(スーパーグローバルハイスクール)の指定校として、課題解決学習を進めていました。ただ、図書館は教員から依頼された資料を提供するだけで、授業との深い連携はしていませんでした。図書館は生徒の自習室になっていて、授業で活用という雰囲気ではなかったのです。
2018年に本校に着任した私は、授業で図書館を活用してもらうためにはどうすればよいか、探究学習のサポートとして何ができるかを考え始めました。探究学習に取り組む生徒の様子を見ていくと、調べるときにインターネット情報を利用し、書籍や文献を使わない生徒が数多くいました。私は情報の検索方法や参考文献の記載方法など、図書館がサポートできる部分がたくさんあることに気付き、19年から探究学習のシラバスの中に説明の時間を入れてもらいました。
新型コロナウイルスの感染拡大で、20年の3月から6月末まで、学校が休校となったことを覚えていますでしょうか。生徒がいない学校は本当に寂しくて、こんなことが起こるのかと不安な気持ちになりました。一方で、その時間を使って忙しい先生方と授業について話をしたり、本を紹介したりすることができました。並行して在宅勤務もしていたので、探究活動に役立つスライドを作ることもできました。できたスライドを探究学習部の先生に見てもらったところ、生徒にも公開しようということになり、学年のGoogleクラスルームにアップロードしていきました。
21年以降は探究活動の最初の時間に、「Google Meet」で各クラス一斉に情報検索の方法を図書館から配信しています。それをきっかけに探究学習のサポートを積極的に行うようになり、図書館としての「学びの体系表」を作成し、各学年の探究活動をサポートしています。
本校図書館はコロナ禍を機に、ペーパーレス図書館になりました。蔵書もクラウド上で検索できるようにし、本の予約も蔵書検索ページのマイページからできるようにしました。クラウドで検索できるようになり、利用者の利便性がぐっと向上しました。併せて新聞のデータベースも導入し、授業連携が広がっていきました。