埼玉県立浦和第一女子高校担当部長兼主任司書
10回にわたって連載を書かせていただきました。読んでいただき、少しは学校図書館のイメージが変わりましたでしょうか。令和の時代の学校図書館は、もう本の倉庫ではありません。
前回、本校のデジタル化の様子をお伝えしました。今回は、授業との連携をどのように進めているかをご紹介します。
昔の学校図書館は「読書」の場でした。文部科学省は2008年の子どもの読書サポーターズ会議で、「これからの学校図書館の活用の在り方等について」を発表し、学校図書館の役割を「読書センター」機能のほかに、児童生徒の「学習・情報センター」として、情報の収集・選択・活用能力を育成し、教育課程の展開に寄与する場として位置付けました。ちょうど、ゆとり教育が見直された頃です。司書教諭を11学級以上の学校に必置とする学校図書館法の改正を受けて、学校図書館の積極的な活用を狙った施策でしたが、現場にはあまり浸透していきませんでした。
皆さんは、「調べ学習」と「探究学習」の違いを考えたことがあるでしょうか。「調べ学習」と「探究学習」の一番の違いはその目的です。「調べ学習」は調べて整理し、それをまとめる(報告)ことが目的なので、答えが見つかります。
本校は探究学習に力を入れている学校です。探究学習は「生徒の社会に対する関心、問題意識を高める」「問いを立てる力を身に付ける。社会で起きていることから課題=なぜそのようなことが起きるのかを見つける力を養成する」「今までの常識にとらわれない=壁を突破する力、勇気を持つ。グローバルリーダーの養成、答えのない問題への対応力」「抽象的でなく具体的な提案=いきなり世界を変えるのは難しい。まずは身近な問題に取り組む」「自分自身が楽しめる、関われることから取り組む」という目的を持って行っています。
私が現在勤務する埼玉県立浦和第一女子高校(以下、本校)は、創立120年を超える女子伝統校で、ほとんどの生徒が国公立大学進学を志望する超進学校です。読書好きな方には、児童文学者・翻訳家として有名な石井桃子さん、最近では小説家の須賀しのぶさんや石田夏穂さんの母校であるとお伝えすると、学校のイメージが湧くかもしれません。
前回、学校司書の役割について紹介しました。では、ガイドラインに書かれた「間接的支援」「直接的支援」「教育指導への支援」は、具体的にどんなことを示しているのでしょうか。
学校図書館ガイドラインには、「学校図書館に携わる教職員等」という項目があり、「学校図書館の運営に関わる主な教職員には、校長等の管理職、司書教諭や一般の教員(教諭等)、学校司書等がおり、学校図書館がその機能を十分に発揮できるよう、各者がそれぞれの立場で求められている役割を果たした上で、互いに連携・協力し、組織的に取り組むよう努めることが望ましい」と書かれています。学校図書館を支える上で特に大きな役割を担う校長、司書教諭、学校司書の役割について見ていきましょう。
2016年に文部科学省が、学校図書館運営に関するガイドラインを定めました。文科省はそれ以前にも学校図書館運営の指針を出していましたが、学校図書館法の改正によって学校司書が法律に位置付けられたことで、学校図書館の目的や司書教諭や学校司書の役割がより具体的に明示されました。「学校図書館ガイドライン」には、学校図書館には「読書センター」「学習センター」「情報センター」の3つの機能があると示されています。
皆さんは、学校図書館にどんなイメージを持っていますか?ひと昔前の学校図書館は、古い本が多く、まるで本の倉庫。ちょっとおしゃべりしようものなら、「静かにしなさい」と叱られる場所でした。
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