教員採用試験の面接などで、「現行の学習指導要領では、各教科等の目標に『~による見方・考え方を働かせる』ことが示されました。『見方・考え方を働かせる』とはどのような意味ですか。この目標を実現するために授業をどのように工夫しますか。具体的に述べてください」といった質問がなされることが想定される。各教科等に応じた見方・考え方と、それを働かせることはどのような意味であろうか。
学習指導要領第1章総則第3の1に、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に際して、次の点に留意すべきことが示されている。
「特に、各教科等において身に付けた知識及び技能を活用したり、思考力、判断力、表現力等や学びに向かう力、人間性等を発揮させたりして、学習の対象となる物事を捉え思考することにより、各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という。)が鍛えられていくことに留意し、……」
ここでは、各教科等で身に付けた知識・技能を活用し、思考力・判断力・表現力等および学びに向かう力、人間性等を発揮して学習の対象となる物事を捉え、思考することによって「見方・考え方」が鍛えられるとしている。各教科等の学習の成果としての資質・能力を用いて対象を捉え考察することが、各教科等の「見方・考え方」を働かせることを意味している。さらに「見方・考え方」は「各教科等の学びの深まりの鍵」となるとしている。
なお、各教科等の「見方・考え方」とは、「各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方」のことである。
学習指導要領の各教科等の目標の記述は、まず「~による見方・考え方を働かせ、~資質・能力を次のとおり育成することを目指す」とされ、続いて3つの目標が示されている。小中学校の国語は「言葉による見方・考え方」、社会は「社会的な見方・考え方」、算数・数学は「数学的な見方・考え方」とされている。これらの目標の記述を確認すると同時に、各教科等の「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」における記述を確認しておきたい。
小学校国語の場合は、次のような記述となっている。「(1)単元など内容や時間のまとまりを見通して、その中で育む資質・能力の育成に向けて、児童の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際、言葉による見方・考え方を働かせ、言語活動を通して、言葉の特徴や使い方などを理解し自分の思いや考えを深める学習の充実を図ること」。ここで、前半の部分は各教科等で共通の内容となっており、「その際」以下が教科等ごとの内容となっている点に注意したい。小学校算数の場合は、「その際、数学的な見方・考え方を働かせながら、日常の事象を数理的に捉え、算数の問題を見いだし、問題を自立的、協働的に解決し、学習の過程を振り返り、概念を形成するなどの学習の充実を図ること」とされている。「見方・考え方」を働かせる授業作りを工夫する場合は、この「その際」以下の内容を手掛かりにすることができる。