皆さんは、「調べ学習」と「探究学習」の違いを考えたことがあるでしょうか。「調べ学習」と「探究学習」の一番の違いはその目的です。「調べ学習」は調べて整理し、それをまとめる(報告)ことが目的なので、答えが見つかります。
一方の「探究学習」は、自分の問題意識に関する答えを求めることが目的の学習なので、明確な答えが見つからない場合もあります。そして、調べていくことで次の疑問が生まれ、興味が広がります。きちんとした「調べ」ができていないと、「探究学習」は広がっていきません。探究学習では、まず課題を設定し、情報を集めます。情報の収集には、図書館資料やインターネット検索だけでなく、アンケートやフィールドワークの手法も使って必要な情報を収集します。調べたことをもとに、なぜそうなるかを考え、集めた知識や情報を分析していきます。そして、それをまとめ発表します。これが探究学習の一連の流れです。
インターネットがなかった時代は、今ほど情報が氾濫しておらず、新聞、テレビ、ラジオの情報が速報性のある情報でした。公共の媒体で情報を発信するためには裏付けが必要で、その情報が正しいかどうか、何人もの目で調べて発信しています。Xやブログの情報は昔で言えば、口コミ情報。今はSNSやYouTubeで情報収集する人が増えたので、学校の授業を通して正確な情報の見方を学ぶ必要があります。
スマートフォンはとても便利な道具ですが、人間が道具に使われてはいけません。道具は、目的があって使うものです。情報もそうです。自分に必要のある情報か、必要のない情報かを見極めて取捨選択ができているのか。情報過多の現代、利用する側が賢くならないと情報に踊らされてしまいます。そのことを伝えていくのも学校図書館の大きな役割です。
情報を探すときにやはり頼りになるのは本です。何かが起こると、まずテレビ・ラジオといった「報道」メディアが速報を出します。次に、「新聞」が報じ、その後に雑誌がその内容を追っていきます。
研究する分野のものは、学術雑誌に論文が掲載されます。信頼性は高いですが、中・高校生には読みにくいかもしれません。そして、その情報が本になっていくのです。ICT活用がいっそう進んでも、学校図書館は書籍の充実を図っていく必要があります。
探究学習で何を調べるかが決まったら、まず情報を収集します。中高生の探究学習では、ぜひ一冊は本を使って調べるようにしましょう。そして、本の内容は「情報メモ」を使って記録する習慣を付けましょう。書名、著者名、出版社、本の請求番号などを記録し、引用する部分を書き留めたり、要約をしたりします。一冊の本の情報をきちんとメモすることで、レポートの内容が濃くなり、幅が広がります。Web記事でも論文でも、内容をきちんと把握することが大切です。情報のメモを付けることで、情報を整理して分析する習慣が付きます。