学習指導要領の学び方は 法的根拠など要点を押さえる

学習指導要領の学び方は 法的根拠など要点を押さえる
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 教員を目指す者として学習指導要領に関する勉強は、欠かせないものである。もとより学校における教育活動の根幹を成すものであるから、筆記試験、論作文、面接、いずれの対策においても学習指導要領の内容に関しての習熟が求められる。採用試験本番が近づいてきた今、押さえておきたい学習指導要領のポイントを取り上げよう。

学習指導要領とは何か

 まず、学習指導要領とは何か、どのような意義を持つものなのか、法的根拠はどのようなものか、などという基本をきちんと押さえよう。

 学校教育法第33条には、「小学校の教育課程に関する事項は、第29条及び第30条の規定に従い、文部科学大臣が定める」とされている。これを受けて、学校教育法施行規則第52条では「小学校の教育課程については、この節に定めるもののほか、教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する小学校学習指導要領によるものとする」としている。学習指導要領は各学校で編成する教育課程の基準であり、法令に基づいて作成されていることが分かる。教科書や時間割なども、これを基に作られている。

 その歴史を振り返ると、戦後、1947年に出版された「学習指導要領一般編(試案)」が最初。51年に改訂版が出されたが、まだ試案であった。58年に「学習指導要領」として制定され、教育課程の基準のとしての性格の明確化が図られた。その後、およそ10年に1度、改訂している。最近の改訂の骨子は次の通り。

▽89年改訂

 ・生活科を小学校1・2年で導入

 ・高校家庭科の男女必修化

▽98・99年改訂

 ・総合的な学習の時間を導入

 ・情報科を高校で導入

▽2008・09年改訂

 ・外国語活動を小学校5~6年で導入

▽15年一部改正

 ・道徳の「特別の教科」化

学習のポイントは

 学習指導要領の構成は、小学校が「総則」「各教科」「特別の教科 道徳」「外国語活動」「総合的な学習の時間」「特別活動」の6章立て、中学校は「総則」「各教科」「特別の教科 道徳」「総合的な学習の時間」「特別活動」の5章立て、高校は「総則」「各学科に共通する各教科」「主として専門学科において開設される各教科」「総合的な探究の時間」「特別活動」の5章立てである。

 総則は、「第1 教育課程編成の一般方針」によく目を通し、キーワードを抽出すること。穴埋め問題などは、このキーワードが出題されることが多い。このキーワードを覚えておけば、論作文や面接にも応用できる。

 各教科は、「第1 目標」「第2 各学年の目標及び内容」「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」の3つで構成されている。このうち、目標には、各教科で身に付けなくてはならない学力が示されている。これも穴埋めにもよく出題されるので、丸暗記した方がよい。中学校や高校は受験する教科だけでよいが、小学校ではできるだけ全教科について覚えておきたい。短い文章なので、可能だと思われる。

 「各学年の目標及び内容」「指導経計画の作成と内容の取扱い」は、じっくりと読んで内容をよく理解しておけばよい。道徳、特別活動についても目標、内容を把握しておきたい。いじめなど問題行動への対応がよく問われるので、道徳の授業や学級活動についても、きちんとした知識を持っている方が有利だ。 

「社会に開かれた教育課程」の実現目指す

 現行の小中学校の学習指導要領は、17年3月に告示。全面実施は小学校20年度、中学校が21年度。高校は18年に告示、22年度から年次進行で実施。改訂は2030年の社会と子供たちの未来を見据えて審議された、中教審の答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善」(16年12月)に基づき行われた。

 主なポイントは、(1)学校教育を通じて子供たちに育てたい姿(2)社会に開かれた教育課程(3)学びの地図としての学習指導要領(4)改善すべき事項をまとめ枠組みを考える6つの視点(5)カリキュラム・マネジメント(6)主体的・対話的で深い学び(7)何ができるようになるか(8)何を学ぶか(9)どのように学ぶか(10)評価の3つの視点――などを押さえておこう。

 学習指導要領としては、「社会に開かれた教育課程」という目指す理念を掲げ、「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を学校と社会とが共有し、それぞれの学校において、必要な教育内容をどのように学び、どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを明確にしながら、社会との連携・協働によりその実現を図っていく」としている。

教科書も合わせて入手しよう

 学習指導要領は、校種ごとなどに冊子としてまとめられ、出版されている。大学の生協、一般書店などで入手可能だ。

 文部科学省のホームページでも全文を見ることができる。サイトのトップページから、「教育」→「小学校、中学校、高等学校」→「学習指導要領『生きる力』」の順にクリックしていけばよい。

 冊子の方が読みやすいし、書き込みなどもできる。廉価なので、ぜひ入手したい。ただし、ホームページは、改訂のポイントや各種の啓発パンフレットなども見ることができるので、大変役に立つ。

 各教科について勉強する際は、学習指導要領と教科書を合わせて勉強した方が効果的である。従って、教科書も購入した方がよい。小中高校で使用されている教科書は、各地域にある教科書販売店で購入できる。購入する場合は、採択第1位のものか実習予定校で使用しているものがよいだろう。

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