前回、本校のデジタル化の様子をお伝えしました。今回は、授業との連携をどのように進めているかをご紹介します。
本校の図書館は、年間を通じていろいろな授業で活用されています。探究学習以外で、4月下旬から図書館を活用しているのは体育科です。学年担当の体育科の教員と図書館利用のスケジュールを確認するところから打ち合わせを始め、授業内容に合わせて、どこでどんな資料を用意するかを決めていきます。
例えば、最初の授業は「健康とはなんだろう?」という内容で、生徒は教科書に即した授業を受け、グループ討議をした後に、「高校生活を健康に過ごすために」というテーマで個別にレポートを書きます。高校生になって初めて書くレポートなので、図書館からは関連資料を用意する他に、①蔵書検索の方法②レポートの書き方③論文やデータの探し方④情報メモのつけ方――について説明します。
1年生の全クラスが同じ課題に取り組んでいるので、別の教科で調べものをするときには、保健体育の授業で身に付けたスキルが生かされます。1年生の間に、探究学習以外に保健体育、国語、英語、家庭科などでも図書館が活用されるため、2年生になる頃にはタブレット端末を使いながら資料を検索したり情報をメモしたりする習慣が付いてきます。
私が特に意識して各教科にお願いしているのは、本やWeb記事を調べたときにメモを取る習慣を付けることです。本校では図書館が作成したメモ用紙を「情報メモ」と呼び、紙媒体とGoogleスプレッドシートを用意しています。例えば、保健体育では1年生で年3回レポートを書きますが、担当の教員と相談し、初回は本を2冊以上利用し、2回目以降はWeb上の記事を使ってもよいが、学術論文や新聞記事を利用するという縛りを設けて参考文献を探します。レポート提出の際には、引用した資料の「情報メモ」を一緒に提出するので、教員は生徒がどこを引用したのかが分かるような仕組みになっています。
探究学習で調べ物をするときの本の読み方は、物語を読むときの読み方とは違います。そこで、本校では1年生の夏休み前に全員に「点検読書」のワークショップを行っています。「点検読書」については、拙著『知りたい気持ちに火をつけろ!』(岩波書店)で詳しく解説していますので、そちらをぜひお読みください。前述の「情報メモ」についても、解説しています。
探究学習を進めるためには、文献をきちんと読める資質が必要です。図書館では教科と連携し、「読む力」や「書く力」を付けるお手伝いをしています。