【教採キーワード―調べ確認してみよう(21)】特別な配慮を必要とする児童生徒への指導

【教採キーワード―調べ確認してみよう(21)】特別な配慮を必要とする児童生徒への指導
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 特別な配慮を必要とする児童生徒への指導については、学習指導要領の第1章「総則」の「第4 児童の発達の支援」の「2 特別な配慮を必要とする児童への指導」に、障害のある児童生徒、海外から帰国した児童生徒並びに日本語の習得に困難がある児童生徒、不登校児童生徒についてそれぞれ記している。中学校については、「学齢を経過した者への配慮」についての規定が設けられている。

障害のある児童生徒への指導

 障害のある児童生徒への指導については、「ア」~「エ」の4項目が示されている。「ア」は特別支援学校等の助言又は援助を活用すること、個々の児童生徒の障害の状態に応じた指導内容・方法の工夫を組織的かつ計画的に行うことを記している。指導内容・方法の工夫の例については、学習指導要領解説総則編に記載されているので確認してもらいたい。組織的・計画的な指導を進めるために、各学校では校内委員会を設置し、特別支援教育コーディネーターを指名して、学校としての指導体制を整えることが行われる。

 続いて「イ」として、特別支援学級において実施する特別の教育課程について、2つの事項が示されている。1点目は特別支援学校学習指導要領に示す自立活動を取り入れること、2点目は各教科の目標・内容を下学年の目標・内容に替えたり、特別支援学校の教科に替えたりして、実態に応じた教育課程を編成することである。

 「ウ」として、通級による指導においては特別の教育課程の編成が可能であるが、その際に、自立活動の内容を参考にして具体的な目標・内容を定め指導を行うこと、各教科等の指導と通級による指導との関連を図ることが示されている。

 「エ」として、個別の教育支援計画と個別の指導計画を作成し活用することに努めることとされている。前者は、学校生活、家庭生活、地域での生活も含め、長期的な視点で幼児期から学校卒業後までの一貫した支援を行うために作成される計画である。後者は、個々の児童生徒の実態に応じた指導を行うために、各学校で作成される計画である。

海外から帰国した児童などの学校生活への適応や、日本語の習得に困難のある児童に対する日本語指導

 海外から帰国した児童生徒は、異なる文化での生活経験を各教科などの学習に生かしたり、他の児童生徒が異文化を理解する機会にしたりするなどの工夫を挙げている。日本語の習得に困難がある児童生徒については、特別の教育課程の編成が可能であり、例えば指導内容について、学校生活に必要な基礎的な日本語の習得を促す工夫をすることなどが想定される。通級による日本語指導については、教師間が連携しながら個別の指導計画を作成し、効果的な指導に努めることとされている。

不登校児童生徒への指導

 「ア」においては、保護者や関係機関との連携、心理や福祉の専門家の助言・援助を得ること、社会的自立を目指す観点から個々の児童生徒の実態に応じた情報の提供、必要な支援を行うことが規定されている。

 「イ」においては、不登校児童生徒を対象として、特別の教育課程の編成をする場合には、児童生徒の学習状況に合わせた個別学習、グループ別学習など、指導方法や指導体制の工夫改善に努めるとしている。なお、不登校児童生徒の教育機会の確保については、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(義務教育機会確保法)の「第三章 不登校児童生徒等に対する教育機会の確保等」の内容も参照しておきたい。不登校児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づいて教育を行う学校は、「学びの多様化学校」(いわゆる不登校特例校)と呼ばれ設置が進められている。

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