第5回 福岡県の離島で行われた、夏休みの1日探究学習

第5回 福岡県の離島で行われた、夏休みの1日探究学習
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 中級の研修では、個別最適化や探究学習の手法を学んだ後に、自分の担当する教室の児童にギフテッド教育の教授法を実践し、レポートを書く課題があります。1期生のレポートの中で皆を一番驚かせたのは、泉泰子さんと松行輝昌さんが夏休みに1日だけ、福岡県の大島で実施したギフテッド教育の探究学習でした。

 泉さんは元公立中学校の教員で、退職後は非行少年に寄り添い、立ち直りの支援をする県警の少年育成指導官を務められました。ギフテッドと学習障がいを併せ持つ2E児の母親でもあり、お子さんが学校で生きづらさを感じて不登校になったのを機に、日米ギフテッド教育協会の研修を受講されました。

 松行さんは、アントレプレナーシップを専門とし、複数の大学で教鞭を取られています。大学生にもギフテッド教育が活用できるのではと研修に参加されました。

 当日は、地元の7人の小学生(うち1人がギフテッド児)が集まり、まず思考スイッチの使い方の説明をしました。そして、地元の歴史を学べる資料館の見学、思考スイッチを使いながらの島の散策を行い、最後に学んだことを思考スイッチを使いながらまとめるという学習活動をしました。お2人のレポートには、全員の子どもたちが思考スイッチを使いこなし、各自の興味を生き生きと掘り下げている様子が伝わってきました。

思考スイッチを使いながら島の散策をする子どもたち
思考スイッチを使いながら島の散策をする子どもたち

<レポートに記されたギフテッド児に見られた変化>

 「参加したギフテッド児は、一人で黙々と新聞を仕上げた。彼女は半不登校状態で、普段学校ではほとんど授業に参加できておらず、唯一参加できている図工の時間でも文字を書くことを極端に嫌がり、提出プリントはいつも白紙で出すことから、今回の制作で「新聞を書く」という手段を自ら選んだことに驚きました。環境づくり、安心できる指導者と子どもの関係、またギフテッド教育研修で学んだ手段の選択制、個別最適化など条件が整えば、これだけ積極的に学べると分かり、その効果を非常に実感しました」

<泉さんの研修後の感想>

 「なぜ我が子が時間の切り替えが苦手で何時間もやりたいことに没頭し、学校の管理体制に身体を壊すほど拒否感を感じるのか。一方で、得意分野ではとてつもない精神性の高さと集中力で取り組むのか。この研修で、それがギフテッド児としてのありのままの姿であることを学びました。我が子の苦しみを知るとともに、それは自分らしさを子どもながらに持っている素晴らしい能力であると思えるようになりました」

 お2人の実践が多くの人の心を動かし、2024年には泉さんが現地ホストとなり、ギフテッド児を集めた2泊3日のキャンプが実現しました。

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