第3回 今の時間と将来の時間

第3回 今の時間と将来の時間
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 育児の先輩から、

 「あっという間だった」

 「もう少し育児に関わればよかった」

 「もう少し家族と過ごせばよかった」

 との話をよく聞きます。そのたび、今しかできないことを優先したいと考えるようになりました。

 自分自身に置き換えても、大学で実家を出て別々に暮らし始めて以降は、親と過ごすことがほとんどありません。中高時代は部活動に行くことも多く、親と何かをしたという思い出は多くありませんでした。当時は日々必死だったので「家族との時間」のような思いはありませんでしたが、今こうして親の立場になってみると両親と子どもが一緒に過ごす時間の尊さを感じます。今さらですが、自分の親に孝行したいと思うようにもなりました。

 もし、息子たちが私と同じようにこれからの時間を過ごすとしたら、子どもに時間をかけられる時間、つまり子どもが親と一緒にいたいと思う時間は12年。長男は11歳なのであと1年になってしまいました。

 仕事期間(定年65歳までの43年間)から考えると、43年のうちの数年間です。そう思うと、育休の1年、時短勤務の1年はわずかなものだと思わないでしょうか。子どもが小さいうちの1年間と子どもが大きくなってからの1年間は同じ1年間ですが、その時間は同じ価値ではありません。仕事は子育てが終わってからでも、のんびり楽しくできそうだと感じます。

 子育てを私が好きな旅に例えてみたいと思います。「子育て」という大きな旅に出かけたのに、行った先ではやらなきゃいけないことに追われ、ゆっくりと楽しむ時間もない。やることが山積みのスケジュールに縛られた旅。本当はこの期間を素晴らしい思い出にしたかったのに、消化するだけのような時間。のんびり遊んだり、ゆっくり食べたり、未知なる場所を右往左往散策したり…。「うまくいったり、いかなかったりしたけど、いろいろあったよね」と、振り返ると思い出に変わるのが旅だと思います。

 育児も同じ。せっかくの人生一度の出来事を一定期間だけでも、時の流れをゆっくりにして、味わってみるのはどうでしょうか。

 子育てをしながら働くことは、「時間の価値」を考えている暇もないくらい目まぐるしい日々です。だからこそ、ゆとりと余暇時間を持ちたいと思います。子育ては、妻との人生最大の共同作業でもあります。パートナーとも良き思い出にしたいものです。

 


 

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