第10回 求められるギフテッド児の精神的サポート

第10回 求められるギフテッド児の精神的サポート
【協賛企画】
広 告

 「日本にギフテッド教育をする余裕はない」という声を聞きますが、今社会問題となっている不登校の児童生徒の中に大勢のギフテッド児が含まれていると考えれば、喫緊の課題ではないでしょうか。

 今回は、アメリカの2E教育の研究者リン・リム博士とアダム・ランガム博士により制作された「アニマルスクール」という動画をご紹介します。この動画は2024年に日米ギフテッド教育協会が日本語に訳しました。動画では、動物たちがアニマルスクールに行くものの、なかなか自分の個性に合った授業に恵まれず苦労する様子が描かれ、ギフテッド・2E児が学校で直面する困難を浮き彫りにしています。

 例えば、フクロモモンガは木から木へ飛び移る形で飛ぶ動物ですが、教師のワシは「地面から飛び立たなければいけない」と指導し、フクロモモンガは落第生となってしまいます。

 転校生のマーゲイには、この学校の授業は簡単過ぎました。マーゲイは成績優秀にもかかわらず、課題への取り組み方がすでに学校にいたヒョウとは違うものだったので、問題児のレッテルを貼られ「もっとヒョウのようになりなさい」と言われます。また、オカピは学校のみんなと違うということでいじめに遭います。

アニマルスクールの動画
アニマルスクールの動画

 1981年に主に研究者と教育者によってアメリカで設立されたSENG (Supporting Emotional Needs of the Gifted)という、ギフテッド児の精神的サポートにフォーカスを当てた団体があります。この団体は、10代のギフテッド児の自殺をきっかけに結成され、保護者サポートや研究者による情報発信を続けています。ギフテッド教育先進国のアメリカでは、1980年代からギフテッド児の精神的サポートの重要さに着目しています。

 日米ギフテッド教育協会は今年からSENGとパートナーを組み、日本に向けてSENGの記事を日本語で発信していくこととなりました。1本目として「ギフテッド児と2E児のレジリエンスの源」を翻訳しました。この記事には、学校生活で苦労するギフテッド児にどうやってレジリエンスの力を養ってあげることができるのかが詳しく書いてあります。

 記事は無料で日米ギフテッド教育協会のホームページで3月から閲覧できるようになっています。日本にも、ギフテッド教育に関するより多くの情報が届き、一人でも多くの当事者の子どもが楽しく学校に通える社会になるよう、今後も皆さんと一緒に学びを進めていきたいと思います。(おわり)

広 告
広 告