第6回 制度はあっても代わりがいない、これまでに前例がない

第6回 制度はあっても代わりがいない、これまでに前例がない
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 「制度はあっても代わりがいない、これまでに前例がない」

 私の時短勤務と育休を大きくこじらせたのはこの2つの壁です。

 少子化問題が一層加速したこともあり、世の中は育児ファースト、家庭ファーストに向かっています。働きながら子育てがしやすい環境づくりに向けて、世の中の動きを感じます。

 その一方、教育現場ではどの学校も人手不足かつ多忙化が大きな課題となっています。制度ができても活用に踏み切れないのは、管理者側もジレンマを抱えているのだと思います。

 次男が生まれた2018年3月、2人目の出産に向けて妊娠初期から育休を希望していました。産むのは妻ですが、家のこと、長男のこと、妻のサポートなど、やることはたくさんあります。しかし、育休の願いはかないませんでした。

 当時、私は2年生の担任を務めていました。3月の出産かつ年度の終わりに向かい、「いざ育休を!」と思っていた矢先に校長から伝えられたのは「育休を取得しようとしても、時期的にも厳しい。4月からの担任が足りなくなる。代わりが見つからない」ということでした。なんとかしてほしい旨を伝えましたが、「それなら代わりを自分で見つけてこい」とばかりに受け入れてもらえませんでした。とても悔しい気持ちでしたが、教務や学年の先生方にご協力をいただき、出産期をなんとか乗り越えることができました。

 また、年度末の繁忙期だったこともあり、早いうちからできる限りの対策をした上で出産を迎えました。この時期に取り組んだ働き方の自主改革は、その後の働き方にも大きく影響しています。しかし、育休を取れなかった心残りと悔しさを残すことになりました。

 同じ年、長男と「親子よい歯のコンクール」に参加し、市内最優秀賞をいただきました。表彰式が夏休み中にあったのですが、教育課程の出張と重なってしまいました。他の先生に内諾をいただいてから、出張者の変更を校長に申し出ました。しかし、「1年間の分掌だから、出張を優先してほしい」と言われました。やむを得ず表彰式には妻と長男が参加し、私は出張に行きました。「親の仕事は自分がしたいことなのに。学校の仕事は代わりがきくのではないだろうか」と強く感じた出来事でした。

 育休への思いや働き方を変えていくことにこんなにも熱くなれたのはこうした経験があるからだと、今となっては良い思い出です。だからこそ、代わりがあふれる教育界を目指したいですし、代わりがきく働き方も考えていかなければならないと感じています。育児の有無にかかわらず、誰にとっても持続可能な働き方の重要性を感じています。

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