第3回 探究学習のアップデート

第3回 探究学習のアップデート
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 3回目にして、ようやく本題に入ります。この連載の趣旨についてご説明します。

 「防災教育が大事」

 「探究学習は今後より重要になる」

 こういった物言いを否定する教育関係者はあまりいないはずです。「平和や人権が大事」「貧困対策は今後より重要になる」という物言いを誰も否定しないように。

 ただ、平和・人権・貧困、いずれもものすごく大事なことではありますが、どう学校で扱うべきかで困っているという人も少なくありません。私が20年以上前に受けていた中等教育の中でも、具体的にどう教えられたかというと記憶が曖昧です。遠足・修学旅行の「平和学習」で資料館や語り部の話を聞く、授業の中で途上国の貧困に触れる、といったことは一応覚えていますが、今でも「なんだったんだろうな。形式的でつまらないし、進路にも役立たないしと退屈だったな」とも思っています。大事なことですけれども…。

 防災教育は今、具体的に何をやっているのでしょうか。避難訓練は義務なので当然として、防災グッズやハザードマップの話をしたり、修学旅行で阪神・淡路大震災後につくられた「人と防災未来センター」みたいな所に行ったり、それぞれ良いと思います。

 探究学習は今、具体的に何をやっているのでしょうか。SDGsについて調べてポスター発表したり、熱心な先生がリードして地域の企業・自治体と一緒に何かしたり、それらも良いと思います。

 でも、生徒にとって「形式的・儀式的なことをやらされてる」、先生にとっても「やる気ある先生が、ただでさえ忙しいのに、さらに過労になる原因になっている。その割に尊敬・感謝されない」という状態で進んでいる部分はないでしょうか。少なくとも、文部科学省が目指すところの「主体的・対話的で深い学び」には至っていないという感覚がある方々が多いのではないでしょうか。

 何を申したいかというと、防災教育や探究学習は、本当はもっと面白くて、児童生徒の人生を変えるきっかけになる。でも、そうなってない現状をもったいないと思っているのです。特に多くの先生が「どうすればよい?」とモヤモヤしている探究学習について、アップデートが必要ではないかと考えています。そして、ご提案が2つあります。

 一つは災害を探究学習の素材として活用してみませんかということ。もう一つは、(私は「研究型探究」と申していますが)大学に行けば多くの学生が「卒業論文・卒業研究」として触れていくような「研究」の方法論を探究学習に取り入れてみませんか、ということです。具体的には、次回以降で解説していきます。

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