第2回 ギャンブル依存症とはどのような病気か

第2回 ギャンブル依存症とはどのような病気か
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 ギャンブル依存症は神経伝達物質であるドーパミンの機能不全により、ギャンブルがコントロールできなくなる精神疾患、いわゆる病気です。WHOでもアルコール、薬物、ギャンブル、ゲームへの依存を国際疾病分類で正式に病気と認めています。筆者が依存症の専門医らと研究を行った結果では、以下の4問がギャンブル依存症の重点項目と分かり、簡易スクリーニングテストになっています。

 Limitless…ギャンブルをするときには予算や時間の制限を決めない、決めても守れない

 Once again …ギャンブルに勝ったときに「次のギャンブルに使おう」と考える

 Secret…ギャンブルをしたことを誰かに隠す

 Take money back…ギャンブルに負けたときにすぐに取り返したいと思う

 このテストは4問の頭文字をとって「LOST」と呼ばれ、自分の1年以内のギャンブル経験が2つ以上当てはまったら、ギャンブル依存症に罹患(りかん)している可能性があると考えられます。

 実は、筆者自身もギャンブル依存症からの回復者で、ギャンブル依存症に罹患するとそこから回復することがいかに難しいかを体験しています。私は、大学時代にギャンブル依存症だった夫と付き合うようになり、一緒に競艇場でデートをするようになったことから依存症になりました。誤解しないでいただきたいのですが、私も夫も「一発逆転」を狙って仕事もろくにしない怠け者では決してありません。むしろサラリーマンとしては自分で言うのもなんですが優秀な方で、30代の前半にはすでに世帯年収が2000万円を超えていました。ですからギャンブルさえやらなければ、家計的には十分にゆとりがあったのです。しかし、ギャンブルがやめられませんでした。私たちは仕事を頑張って成績を上げて責任を果たす自分と、ギャンブルにのめり込んでいる自分の2つの自分に引き裂かれていました。

 末期の時には、1日で200万円もレースにつぎ込んでしまうなどして、子どもたちの幼稚園の月謝6000円を滞納するようになりました。当時は「早く死にたい」とばかり考えていました。この病気は誤解されがちですが、楽しくてギャンブルをやっているのではなく、ギャンブル以外では快感をもたらしてくれる神経伝達物質であるドーパミンの感受性が悪くなってしまうため、ギャンブルをやっていないと気分が落ち込み、イライラそわそわして居ても立っても居られない状況になってしまうのです。つまり、快感を求めてやるのではなく、苦痛を緩和するためにやらざるを得なくなるという残酷な病気なのです。

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