第5回 ギャンブル依存症による家族への悪影響

第5回 ギャンブル依存症による家族への悪影響
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 誰かがギャンブル依存症になると、6人が悪影響を受けると言われています。実際、支援の現場にいるとその言葉が決してうそではないことが分かります。はっきり申し上げて、ギャンブル依存症を悪化させる大きな原因は、借金の肩代わりを繰り返してしまう家族や友人・知人です。

 もし、皆さんがご家族や友人・知人、教え子などから「ギャンブルが原因で、多額の借金を抱えている」と相談されたら、なんとアドバイスされるでしょうか。

A 借金が返せないなら弁護士などに相談して解決しろ。もしくはコツコツ返すしかないと伝える。

B 利息が高く大変なことになるので、取りあえず立て替えてやるから、自分で返済しろという

 AとBのどちらを選ぶでしょうか。

 これでもし、その人の周りにいる全員がAを選んだとしたら、その人は借金返済に苦しみ、「ギャンブルをやめなくては」という決断をせざるを得なくなります。そして、ネットで調べ、われわれのような当事者団体に連絡をしたり、病院につながったりできるでしょう。

 問題はBのような人が身近に、それも家族にいる場合です。家族は当事者に「もうやるな!」とたんまりと説教をし、時には誓約書や念書を書かせた上で、自ら全額返済をしてしまいます。そして毎月、家族に返すように約束させ、これで利息分が助かって早く返せるだろうと安心します。しかし、再び借金が出てくるのです。しかも1回目より2回目、3回目の方が金額は大きくなっていきます。そして家族は「これが最後」と怒りながら何度も尻拭いを繰り返すのです。これが共依存です。

 ギャンブルの借金は安易に肩代わりをしてはいけません。肩代わりをすればそれは消費者金融の「優良顧客」になってしまい、借り入れを繰り返してしまいます。慌てて借金を返済するより、ギャンブル依存症の治療を優先させるべきなのです。

 ご家族に借金への正しい知識がないと、ただただ恐れ慌てて返済をしてしまいます。こうして自分たちの老後資金、子どもの教育資金などが根こそぎなくなり、家族関係も悪化し、子どもたちにも影響が出ます。夫婦関係や経済状態の悪化、父親の突然の失踪などから子どもたちが不登校になったり、リストカットやパパ活を始めたりするようなこともあります。預貯金や積み立て型の保険が全てなくなったり、勝手にカードを使われて家族が借金だらけになったりすることもあります。家族全員が正しい知識を持つことが重要なのです。

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