第6回 ギャンブル依存症による犯罪

第6回 ギャンブル依存症による犯罪
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 2024年、元米国大リーグの通訳者による巨額銀行詐欺事件のニュースが世界中を駆け巡りました。メディアやSNSでは、通訳者に向けて一斉に人格攻撃を開始しましたが、私たちは「ギャンブル依存症なら、何ら不思議はない。こういうことも十分起こり得る」と思いました。

 ギャンブル依存症は進行性の病気です。病気が進めば、ギャンブルのことしか考えられなくなり、ギャンブルの資金をつくるためなら、モラルも壊れていきます。皆さんの中にもニュースをご覧になっていて、お気付きになっている方もいらっしゃるかもしれません。ギャンブル問題からの犯罪は、毎日起きています。

 例えば、最近大きな話題となったのはルフィらによる闇バイト事件で、90歳の老女を殺害して無期懲役となった現役自衛官の男は、原因は競艇の借金と法廷で述べています。また、メガバンクで起きた銀行員の10億円にも及ぶ貸金庫窃盗事件も、理由はFXと競馬のためだと供述しています。

 われわれの調査でも、ギャンブル依存症者の家族681人に聞いたところ、ギャンブル依存症当事者に犯罪行為があったと答えた家族は33.8%、230人にも及びました。ギャンブルの種類をオンラインカジノに絞り、ギャンブル依存症の当事者に犯罪行為があったかどうか聞くと、回答者93人のうち実に46.2%の43人が「有り」と答えました。

 オンラインカジノに手を出して依存症になると、およそ半数の人間が犯罪に手を染めるとなると、あまりにリスクが高く、これはもう娯楽の範囲を完全に超えています。しかも、この43人がやってしまった犯罪の種類(複数回答あり)は、「窃盗・万引き」と「横領」が18人で26.1%ずつ、続いて「口座売買」が10人で14.5%、「携帯の転売」が8人で11.6%、「携帯以外の売り飛ばし」が6人で8.7%、「詐欺」が5人で7.2%、「キセル」「強盗」が1人ずつの1.4%となっていました。ちなみに、いわゆる「闇バイト」と呼ばれるものに入るのが、「口座売買」「携帯の転売」「詐欺」「強盗」で、これらに手を染めた人数を合計すると24人55%にも及びます。

 現代社会においてスマホは誰でも気軽に使え、若者にはなくてはならないものですが、その中身は賭博場でもあり、依存症になると犯罪行為への入り口にもなってしまいます。そうなると、抜け出すのは容易ではありません。

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