SNSがきっかけで犯罪被害に遭った18歳未満の子どもの数が、2024年に1486人に上ったことが警察庁の発表で明らかになった。そのうち小学生は136人で女子が大半を占めるという。
先月この稿でSNSと犯罪被害との関係を述べたが、このような数字で示されると今更ながらその恐ろしさを実感する。被害に巻き込まれる直接の原因がオンラインゲームで知り合ったという子どもが多い。誰とも分からない相手と同じ趣味ということだけで親しくなり、やがて金銭や裸の画像を要求され気が付いたときには取り返しのつかない事態にまで発展している。
一方で子どもが犯罪者になるケースが最近は見受けられる。警察発表によれば、中高生の成績などをネット上で管理するシステムにアクセスし生徒の名前や住所・成績などの大量の情報を不正に盗み出したり、生成AIを使い他人のIDとパスワードで電気通信会社のシステムに不正ログインし100以上の回線を契約したりする事案も発生している。
そこには人間同士のコミュニケーションに必要な倫理観の存在は見受けられない。自分だけの世界に埋没するネット社会や金銭を最優先する拝金主義社会が育てた産物とも言える。
被害者が加害者に変貌するのを防ぐには規範意識の育成が欠かせない。道徳教育はもちろん、学習における振り返りと肯定的評価、異学年交流といったどの学校でも行っている活動でも大きな効果が期待できる。しかし、最も大切なことは大人たちの言行一致の姿であろう。子どもたちは大人を見て育つ。