月45時間以上を0%に 埼玉・神奈川県教委が働き方改革を加速化

月45時間以上を0%に 埼玉・神奈川県教委が働き方改革を加速化
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 埼玉県教育委員会は4月9日までに、働き方改革のさらなる推進に向けて「学校における働き方改革基本方針」の改定を行った。2027年度末までに時間外在校等時間が月45時間以内、年360時間以内の教員数の割合を100%とする。また、神奈川県教委も「神奈川の教員の働き方改革に関する指針」をこのほど改定し、29年度までに埼玉県教委と同様の目標を掲げている。両教委とも時間外勤務を削減しつつ、教員の働きやすさと働きがいの向上も図っていくとしている。

 埼玉県では、時間外在校等時間が月45時間以内の割合が、24年11月には小学校教諭で82%、中学校教諭で62%、高校教諭で74%、特別支援学校教諭で92%となっている。

 同県教委では、教員の働き方について、子どもたちへのより良い教育の実現につなげるために、教員が心身ともに健康であることが必要とし、時間外在校等時間に関わる目標は、22年度に出された基本方針から継続する。

 働き方改革の取り組みを着実に実施していくために、勤務管理システムなどによる客観的な在校等時間の把握や、学校関係者や保護者などで構成する「多忙化解消・負担軽減検討委員会」などからの意見聴取、教育局職員で構成する「フォローアップ委員会」において、基本方針の各取り組みを評価・検証するなどしていく。

 目標達成に向けた具体的取り組みでは、学校への調査は年間本数10%減(24年度比)を目標とするなど、調査の縮減や効率化を図る。学校部活動については、各学校での状況を踏まえた「ノー部活デー」を設定し、地域クラブ活動への移行などの取り組みを進めていく。

 同県教委の担当者は「時間だけでなく、教員としての働きやすさ、働きがいを新たな目標として設定したことが、改定における特徴だ」と話し、教員としての充実感を向上させていくために、子どもと向き合う時間の確保や、管理職のマネジメント力の向上などにも取り組んでいく。

 神奈川県では、19年に「神奈川の教員の働き方改革に関する指針」を策定し、時間外在校等時間の縮減や年次休暇の取得日数の向上、学校部活動に関する方針の順守などの目標を掲げ、働き方改革を推進してきた。

 時間外在校等時間については、一定の改善は見られるものの、月45時間以上の割合が、23年度の調査では小学校教諭で25.3%、中学校教諭で42.2%、高校教諭で14.5%、特別支援学校教諭で6.6%だった。

 こうした状況を踏まえ、改めて県教委と市町村教委が一体となり、働き方改革を加速させるため、同指針を改定。29年度までのおおむね5年を対象期間とし、特に25年度から27年度までの3年間を重点改革期間に設定。早期の目標達成を目指す。

 県・市町村教委共通の目標として、時間外在校等時間が月45時間超、年360時間超の教員の割合をいずれも0%とする。また、働きやすさと働きがいの両立を目指し、▽「現在の職場を働きやすい職場」と感じている教員の割合▽「仕事にやりがいがある」と感じている教員の割合――について、いずれも80%以上を目指していく。

 同県教委の担当者は「子どもたちに向き合う時間を確実に確保していくため、教員の負担感につながっている業務を精査し、総合的に減らしていく」と強調。保護者や地域に教員の働き方改革への理解や協力を促し、学校に対する調査や照会を削減したり、校務DXを加速化したりするなどしていく。

 また、県域の市町村立学校の働き方改革を進めるため、新たに「市町村立学校働き方改革加速化補助金」を創設。加速化に寄与する新たな施策を支援していく。

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