第7回 もし、ギャンブル依存症になったら

第7回 もし、ギャンブル依存症になったら
【協賛企画】
広 告

 もし、あなたや身の回りの人がギャンブル依存症になったらどうしたらよいでしょうか。それはズバリ、「ギャンブル依存症の当事者や家族が通う民間のピアサポートにつながりましょう」ということです。

 「えっ?ギャンブル依存症って病気だから精神科に行くんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、精神科に行っても、結局は当事者たちの民間団体や自助グループを勧められます。ギャンブル依存症は、薬があるわけでもなく、アルコール依存症の方のように膵臓(すいぞう)や肝臓がボロボロになっているわけでもありません。ですから医療よりもむしろ当事者同士の支え合いが有効なのです。

 現代のギャンブル依存症問題は、昔のように多重債務問題に限定したものではありません。闇金からお金を借りた人、犯罪に手を出してしまっている人、損害賠償請求をされている人、仕事を失った人、家族関係が悪化している人、不登校になった子どもがいる人、ギャンブラーの暴言や暴力から逃げられない人、明日の食料すらなくなってしまった人、携帯電話が止まってしまい仕事に行けなくなった人、うつ病を併発している人、発達障害との重複障害がある人、離婚したけれどギャンブラーから養育費がもらえない人、行政の理解が得られず孤立している人など、本当に多岐にわたっています。このような複雑な問題に医療だけでは対応できません。また、大半の弁護士はギャンブル依存症のことは詳しくありません。だからこそ経験に裏打ちされ諸問題に対応できる、ギャンブル依存症の当事者や家族同士のピアサポートが重要なのです。

 第5回でも述べましたが、家族はまず家族会につながり、当事者への借金の肩代わりなどお金の支援を一切やめることを学び、対応を変える勇気を持つのです。家族が金銭的支援をやめれば、当事者は支援団体につながらなくては生きていけません。「私たち家族はもう支援はできないから、当事者団体につながりなさい」と伝えるのです。するとギャンブル依存症者は、嫌々ながらも支援団体につながろうとします。そして、当事者のピアサポートを受けながらギャンブルを一緒にやめていき、金銭や家庭で起きている諸問題も併せて解決していきます。

 当事者も家族も一人では問題を抱えきれません。必ず支援団体につながりましょう。点で存在する医者や弁護士といった支援者を面で結ぶのが、われわれ民間団体の役割なのです。

広 告
広 告