第3回 職員の個別最適な校内研究の具体的内容(前半)

第3回 職員の個別最適な校内研究の具体的内容(前半)
【協賛企画】
広 告

 職員の個別最適な校内研究は「自己の在り方を見つめること」から始まります。年度当初の4~5月は、探究のテーマを決めるために、繰り返し他者と対話しながら自己の在り方について考える時間を設定します。

 当事者研究の柱は「対話」です。「私は教師としてどんなことを大切にしているのか」「どんな学びが私にとって必要なのか」当事者が考え得るどんな探究でも、実現できる可能性があることを伝え、①「何を」学ぶか②「どのように」学ぶのか――を同僚と対話をしながら掘り下げていきます。

 しかし、一人一人の職員が自己の在り方を深く見つめ、探究のテーマを決めて実現していくのは簡単ではありません。そのため、4~5月の研究会では幾つかの手だてを講じています。例えば、「エンゲージメントカード」((株)トリプルバリュー)を使って、自己の大切にしている価値観を明らかにし、他者とそれを共有するチームビルディングを行ったり、「キャリア戦略のフレームワーク」(森岡毅2019)を使って、個々の探究の年間計画を立てたりしています。これらのコンテンツを重視しているというより、自己の在り方を見つめ、探究を自己決定するための次の3つの要素を大切にしています。

 それが、(1)「自己の探究を深めるための重要な他者の伴走」です。当事者性に根差した探究であるからこそ、一人で探究を生み出したり、深めたりすることには難しさがあります。当事者に伴走する同僚の関わり方によって、探究の実践がより深まる可能性があります。4月から繰り返し同僚とアイスブレークや会話をする機会を設定することで、自己の根っこにある価値観や考え方をそれぞれの職員が開示できるような場を1年間かけて醸成していくことを大切にしています。

 次に(2)「日常的な探究であること」です。一人一人の当事者のための探究なので、内容ややり方が年度途中で変わってもよいことについて共通理解を図ります。当事者性の高い研究にするためには、その当事者の刻々と変化する状況に合わせて、探究が実現できるようにすることが求められます。

 3つ目は、(3)「職員が探究をするゆとりや余白があること」です。本校では、研究と働き方改革の両輪で、職員の探究の時間を少しでも確保するように努めています。(それでもまだまだ探究の時間が足りない現状は依然としてあります)  

 このような形で、4~5月は一人一人の職員が自己の在り方を見つめ、探究テーマを決定するプロセスを大切にしています。

校内研究での対話の様子
校内研究での対話の様子

広 告
広 告