保土ケ谷小学校の職員の個別最適な校内研究は「自己の在り方を見つめること」から始まります。その上で、①「何を」②「どのように」学ぶのか――を他者と対話しながら考え、探究をしていきます。今回もその当事者の多様な探究の具体についてお伝えします。
飯野教諭は一つの教科に捉われず、「思考力・表現力」をテーマに数年間、探究を続けています。当事者がいつでも自由にテーマや内容を決められることも、個別最適な研究の特徴です。飯野教諭は自身の探究について次のように語っています。
「将来約50%の仕事がAIと入れ替わるという研究結果があります。そのような社会の中で、子どもたちがより自分らしく、幸せに暮らしていくためには、新たに何かを生み出す思考力が必要です。そこで日々の授業で、常に思考力を育めるような展開を意識しています。全ての教科での思考力を高めるちょっとした工夫によって考える力が育まれ、将来生きていくための糧になればと考えます」
飯野教諭の探究は、これからも子どもや仲間と共にゆるゆると続いていきます。
学校を統括する教務主任の野島主幹教諭は、自身の探究について次のように語っています。
「学校が、児童や教員にとって心の健康や幸福感を持てる場になっているのかについて、『ウェルビーイング』をキーワードにして対話する場をつくりました。まずは『今、あなたはウェルビーイングな状態ですか?』と職員に問うことから始めました。また、ウェルビーイングな学校をつくるためには、どうしたらよいかという問いを通して、自分たちの幸せについても深く見つめ、行動していくことが子どもの幸せ、学校全体のウェルビーイングの向上につながると感じました」
ウェルビーイングとは何かを問い続け、模索し続ける野島教務主任の探究は、今後も続いていきます。
初任者として着任した菰田教諭は、教科の学びありきではなく、自身の願いや在り方を掘り下げていく対話の中で、「話すこと・聴くことができる教室」をつくっていきたいという思いから探究をスタートさせました。国語「やなせたかし アンパンマンの勇気」の単元をもとに学級の実態を踏まえ、自分の生き方について考えたことを交流する学びを模索しました。「私の思いや願いを聴いていただいた皆さまに感謝です」と笑顔で語る菰田先生の教室づくりの探究は、まだ始まったばかりです。