第3回 「問いが立てられない問題」を解消する探究学習の土台となるSEL

第3回 「問いが立てられない問題」を解消する探究学習の土台となるSEL
【協賛企画】
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 現在、小中学校では「総合的な学習の時間」、高校では「総合的な探究の時間」が実施され、学校現場における大きな学びのシフトチェンジが起きていいます。

 私たちはSELを軸にした探究教材の提供と年間の伴走支援を行っています。一人一人の子どもたちが自身の興味関心に基づき、「マイプロジェクト」に取り組みながら、自己理解と社会への接続に向けた探究を行えるようサポートします。

 その中で、多くの先生から耳にするのが「探究学習で子どもたちが問いを立てられない」ということです。探究学習は自身の中から生まれる「問い」が起点になります。そのため、「自分の興味関心からテーマを決めてみて」「生活の中でモヤっとしていることは何かな?」と問いを立てるように促すものの、子どもたちは戸惑ってしまうというのです。

 その理由は、これまで「好きなこと」や「興味関心」を中心に置いた学びを経験したことがなかったため、自分の内面に目を向けたり、それを表現したりすることに不慣れなのです。また、「こんなことを言ったら先生に注意されそう」「これは学校っぽくないテーマだから黙っておこう」と忖度(そんたく)し、問いにつなげられない子も数多くいます。こうして自分の感情や気持ちに対して判断や忖度をすることを、私は「ジャッジをする」と表現します。

 私たちは、子どもたちが「ジャッジをする」ことを手放し、自身の内側に目を向けるSELのワークを通じて、探究学習の土台となる自己理解や協働性、共感などを育む機会を提供します。そうしてSELを軸にしながら学校と協働して環境を整えていくと、子どもたちは自身の力を伸ばし、主体的に動いていきます。

 ある生徒は、自分の気持ちを伝えたり、把握したりすることに苦手意識を持っていました。人間関係の中でストレスを感じることも多かったと言います。そこで、彼女は自身のマイプロジェクトとして、「気持ちと付き合うためのノート」を開発しました。その結果、彼女は300人規模の全県を挙げたアワードでの発表者に選ばれます。

 彼女は人前に立つことへ強い抵抗感を持っていたので、出場するかどうかで葛藤していましたが、自身の開発したノートを使って気持ちを整理し、堂々と発表をしました。その上、自信をつけた彼女はクラウドファンディングで開発したノートを発売し、自分と同じ課題に苦しむ人々に届けるまで歩みを進めたのです。

 私たち大人は彼女に、自分の力を伸ばす機会を提供したに過ぎません。SELのアプローチで彼女は自分に目を向け、自分との付き合い方を学び、挑戦することができるようになったのです。

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