前回は教育実習を成功させるポイントとして、児童生徒、指導教員との人間関係について触れた。今回はそれ以外の留意点について紹介する。
ここ数年、人間性を重視などと言われているが、学校教育現場を体験できる教育実習では、教員採用試験に臨む上でも多くの貴重な知識、技能、示唆を与えてくれるだけでなく、採用時の最終的判断などでも活用される場合もある。
文部科学省では、人柄や意欲、教員としての実践的指導力を見極めるため、教育実習校における評価を含めた教育実習の評価を採用選考に活用することが有効であると考えている。
このため大学等教員養成機関や教育実習校との連携を密にして、教育実習の実施時期をできるだけ早くすることやその評価をできるだけ客観的なものとするよう工夫するなど、条件を整備するとともに、その条件整備の状況を勘案しつつ、教育実習の評価を選考における判断の資料として活用するよう努めることとしている。
実習校との事前打ち合わせでは、実習で実際に行う教科や単元内容があらかじめ分かるようであれば教えてもらい、使っている教科書や教材などを見せてもらうとよい。小学校に実習に行く場合は、教科にこだわりがなければ、指導教員の得意な教科や校務分掌で研究を担当している教科の指導を受けるといいだろう。
実習前に教材研究をしっかりと行い、指導案を作成しておく。できれば自作教材や練習問題のプリントなども試作しておき、実習が始まったら、指導教員に見せて、点検してもらうのを忘れないこと。
学習指導要領と教科書は、絶対に事前に用意する。使用している教科書を聞いて自分で購入した方がよい。どこで買えるか、購入に関しては、全国教科書供給協会のサイトで案内されている。
学習指導要領は文科省サイトで閲覧できるので必ず確認しておく。また、冊子も数百円で購入できる。冊子版は教科ごとに解説が発行されている。中高の場合、自分の教科は必ず入手しておきたい。
まず、何といっても健康管理である。普段とは生活リズムが異なるので体調を崩さぬよう健康管理に留意したい。実習前の1カ月くらいは実習期間を視野に入れた生活を行うようにしたい。
実習期間中は必ず実習校の指示に従うこと。期間中は絶対に遅刻や早退はしないようにする。また、就職活動を理由とした欠席も許されない行為なので絶対にしないようにする。
「教育実習の留意事項」「教育実習の際の主な持ち物」を別表にまとめたので参考にしてもらいたい。
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教育実習の際の主な持ち物
・筆記用具(メモを忘れずに)
・印鑑
・室内用の靴(スリッパ以外)、運動靴
・体操服(ジャージなど)
・実習日誌
・指導案、プリント類(事前に作成したもの)
・ノートパソコン、タブレット(許可があれば)
・弁当(給食がない場合)
・湯飲みまたはカップ
教育実習の留意事項
▽服装・髪型は実習生にふさわしいものにする。簡素で清潔に留意する
▽実習生としての目的意識・積極的な研究意欲を持つ
▽自己管理をしっかり行い、十分な栄養、睡眠をとり、規則正しい生活をして。健康管理に努める
▽実習期間中は、実習以外の予定は入れない。実習に集中する。アルバイトなども行わない
▽勤務時間を厳守。遅刻・早退・欠勤はしない
▽やむを得ない理由で遅刻・欠勤する場合、必ず出勤時間前に実習校に連絡する
▽提出物・提出期限は、各実習校の指示に従い、期限を守って、指導教員に直接渡す
▽常に言葉遣いは正しく、礼儀正しく行動する
▽児童生徒一人一人の人格を尊重して接する
▽実習生としての立場をわきまえ、実習校の校則、規定、指導計画などに従って行動する
▽事故防止については、万全の注意を払う。事故が発生した場合は、速やかに指導教員・担当教員に連絡し、指示に従う
▽次の行為は、指導教員の許可なく行わない
・児童生徒を校外や宿舎に連れ出す
・児童生徒の家庭を訪問する
・種々の調査を実施する
・集会を開いたり、食べ物を提供したりする
・児童生徒から電話番号やメールアドレスを聞いたり、自分の電話番号やメールアドレスを教えたりする
・児童生徒と私的な交際はしない
▽実習生控室の整理整頓、戸締まり、消灯などに気を付ける。控室での飲食は避ける