第6回では、気持ちに気付くことの重要性をお伝えしました。気付いた上で、どうその気持ちと付き合っていくのか。その方法を身に付けていくことで、自分も周囲にいる人たちも過ごしやすくなります。そして、SELはそのアプローチを身に付けていくための学びです。
ここでは、SELのアプローチの中から「レジリエンスゾーン」をご紹介します。
人の感情や気持ちには波があり、誰もが「ハイゾーン」と「ローゾーン」に入ります。「ハイゾーン」とは、気持ちが高ぶって怒りが込み上げたりパニックに陥ったりしてコントロールが難しい状態のことを指します。反対に「ローゾーン」とは、パワーが出なかったり落ち込んで動けなかったりする状態を指します。そして、「OKゾーン」は多少の波はあるものの、自分でコントロールが効くゾーンのことです。この「OKゾーン」のことを「レジリエンスゾーン」と呼び、自らそこに戻ってこられるようになることが以下に紹介するワークの肝です。
図のような「ハイゾーン」「レジリエンスゾーン」「ローゾーン」を見える化したグラフを目につく場所に貼っておき、「今の自分はどこにいるのか」や 「今日はどんなふうに気持ちの波を行き来したのか」といったことを振り返ることができるようにしておきます。
「ハイゾーン」と「ローゾーン」にいるときの具体的な対処法も理解しておきます。「ハイゾーン」にいる場合には、グラウンディングが有効です。グラウンディングとは、壁に背をつけて座ったりブランケットをギュッと抱いたりし、身体的に何かと接することで気持ちを落ち着かせる方法です。「ローゾーン」にいる場合には、エネルギーを補充されるようなシーンを想像する「リソーシング」が効果的です。例えば、お風呂に入っているときや自然の中で呼吸をしているときなど、自分がパワーを充電できるようなシーンを思い浮かべます。その際、なるべく具体的にシーンを想像しましょう。実際にその場にいなくても気持ちが癒え、エネルギーが充電されていきます。
自分の気持ちに自覚的になった上で、「ハイゾーン」や「ローゾーン」にいる場合には、「OKゾーン」に戻ってこられる方法を身に付けておけるとよいでしょう。子どもの場合には、先生や保護者と一緒に話しながら、「ハイゾーン」「ローゾーン」への対応策を検討していけるとよいと思います。