第4回 4つの観点から食べられない子の背景と理由を知ろう

第4回 4つの観点から食べられない子の背景と理由を知ろう
【協賛企画】
広 告

 子どもが給食を食べないのは「わがまま」ではありません。仮に「わがままに見える」場合でも、必ず理由があると考えることが大切です。

 その理由は、大きく分けて4つあります。

 1つ目は、感覚的な問題です。味覚やにおい、食感など、人には個人差があります。生まれ持った感覚があり、受け入れられる感覚を広げる支援の方法もありますが、感覚の問題によって給食をおいしく感じられない場合があります。

 2つ目は、機能的な問題です。特に、食べることに関わる口腔機能が大きく影響します。例えば、大人でも虫歯があれば、痛くて食べられないことがあります。子どもは歯が生え変わる途中で、骨格もまだまだ成長段階です。また、そしゃくや嚥下(えんげ)に関わる動きがしっかりと獲得できておらず、かみ応えのあるものをうまくかめず、飲み込めなくてずっと口に残って気持ち悪いといったことも起こり得ます。

 3つ目は、精神的な問題です。過去の経験などの影響で、「食べられずに怒られたらどうしよう」「食べることで気持ち悪くなるかもしれない」など、精神的な問題は食欲に大きく影響します。健全な食欲には、空腹に加えてリラックスが必要です。

 4つ目は、リズムの問題です。これは前の3つとはやや性質が異なりますが、例えば「給食を食べなくても、家に帰ったら好きなだけお菓子を食べられる」といった状況があると、好きなものしか食べないなどの偏食につながることもあります。

 給食が食べられない子がいたら、「この4つの理由のうちどれに該当するか」を考えてみると、支援のヒントになります。どんな理由にせよ、無理に食べさせることは逆効果です。

 また、理由は一つだけではなく、複数にわたる場合もあります。もし、より詳しく学びたい方がいれば、拙著『子どもも親もラクになる偏食の教科書』(青春出版社)が参考になるかもしれません。

 そして、ここからがとても重要です。気を付けたいのは、ほとんどの場合において、子どもは食べられない理由を言語化できないということです。

 子どもから出てくるのは「これ嫌い」という言葉だけかもしれません。「実は僕、口腔機能がまだ獲得段階の途中で、固いものはうまくそしゃくや嚥下(えんげ)ができないんだよね。だから先生、その点の配慮をお願いします」などと言ってくれれば分かりやすいのですが、そうはいきません。

 そのため、大人側が少しでも知識を持っていることが、とても重要です。理由や背景を知ると、食べられない子の気持ちに寄り添うことができます。そして、気持ちに寄り添うからこそ、子どもは安心して給食の時間を過ごすことができるのです。

広 告
広 告