第1回 学校デジタル化の現在地

第1回 学校デジタル化の現在地
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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休校が行われてから、5年がたちました。小中学校で「GIGAスクール構想」が急速に進められ、今では「NextGIGA」という言葉も出てくるようになりました。タブレット端末などをリース契約で配備すると、その多くが5年契約なので、ちょうど今が更新を迎える時期と重なります。そうした状況もあって「NextGIGA」と一部のメディアで呼ばれていますが、文部科学省はこの言葉を使っておらず、GIGAスクール構想の基本理念も当時から変わっていません。

 「NextGIGA」の言葉の元をたどると端末更新に行き着きます。企業などでも従業員が利用する端末はリースで契約されることが多く、5~6年間の契約期間が終わった後に返却することになっています。小中学校に導入された端末もそろそろ現在使っている端末がリースアップを迎える頃であり、2025年は新たな端末のリースを契約する時期となっています。

 「GIGAスクール構想」によって端末が配備され、オンライン授業にも耐え得るネットワーク環境も整備されました。これにより、コロナ禍以前では考えられなかった、タブレット端末を文房具として使う環境が整いました。

 しかし、学校現場の現状を見ると、活用に積極的な学校と消極的な学校とで二極化しているように思えます。友人や職場の同僚から他校の情報を聞くことがありますが、「ああ、タブレット?使うわけないじゃん。ちゃんと保管庫にしまってあるよ」や「今は外国人生徒の保護者対応に時間が取られてしまって、端末の活用どころじゃないよ」などという話を聞きます。

 また、昨年度に私が受けた後期中堅教諭等資質向上研修の異校種研修で小学校に赴いた際も同様で、タブレット端末の活用は自習の時間に限定されていました。計算や漢字ドリルのアプリに取り組む目的で児童が使っている様子を見ましたが、普段の授業で教室にいる子どもたちがタブレット端末を活用している様子を目にすることはありませんでした。

 せっかく端末が配備されたというのに、充電までされていて使おうと思えば使える環境が整っているというのに、いまだ授業ツールの主役は黒板とチョークであり、子どもたちは紙の教科書とノートを使って勉強をしていました。2020年から4年後の光景とはとても思えませんでした。

 どうしたら子どもたちがタブレット端末を日常で使う光景が実現するのでしょうか。実は、私が以前勤務していた学校でも似たような光景が広がっていたことがあり、学校全体が変わるための大改革が行われました。

 本連載ではその原体験を振り返りながら、マイナス地点からどのようにして学校DXを進めていくことができたのかをお話ししていきたいと思います。

 

【プロフィール】

魚住惇(うおずみ・じゅん) 愛知県の高校情報科教諭。主な著書は『仕事がサクサク進む 教師のiPad仕事術』『逆境に負けない 学校DX物語』。趣味は珈琲豆の焙煎とサーバーいじり、2008年に趣味の一環として始めたブログ「さおとめらいふ」は現在も更新を続け、21年からは「こだわりらいふNewsletter」を毎週水曜日に配信している。

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