あなたの学校やクラスでは、配膳やおかわりのルールをどのようにしていますでしょうか。前回、「残さず食べることへの取り組み」について触れました。関連して、とある保護者の方から以下のような相談を受けたことがあります。
「うちの子のクラスでは、配膳された後に食べられないと思ったら、先に減らしてもいいことになっているようです。でも、減らしたら必ず完食しなければいけないというルールで、それが子どもにとってプレッシャーになっています」
私はこれを聞いたときに「あまり量を食べられない子にとっては、むしろ逆効果になるだろうし、食欲が湧かないだろう」と感じました。近年「先に減らしてOK」という指導を大切にする先生が増えていますが、このようなプレッシャーのかかるやり方にならないように注意が必要です。
また、別の方からは「給食を全部食べたら、デザートを食べてもいいというルールにしている先生がいて、1年間ずっとデザートを食べられなかった子がいた」という話を聞いたこともあります。一方でとある先生は「全部食べなくても、デザートを食べてもいいんだよ」と教えた上で、デザートを食べた後に他のおかずが残っている子に対して「デザートを食べられたなら、こっちのおかずもまだ食べられるんじゃない?と聞いてみると、口にすることが多い」と言います。
このように、さまざまな「独自ルール」がありますが、クラスの残食を減らそうと、一生懸命考えて工夫しているのかもしれません。それはとても大切だと思いますが、食べられない子の気持ちを理解せずにルールを作っても、逆効果になってしまうことがあります。
また、普段からの「残さず食べましょう」「好き嫌いをしないで食べよう」というメッセージが、子どもにとって「食べられないことを言いづらい環境」になってしまっているかもしれません。食べられない子はそれを引け目に感じていることが少なくありません。自分から「僕は○○が食べられないんだ!」と自信を持って言う子は少なく、「恥ずかしいこと」と感じている子は多いでしょう。
だからこそ「食べられなかったら教えてね」「食べられないのは悪いことではないんだよ」「先生だって苦手な食べ物があるんだよ(あったんだよ)」といったメッセージも大切にすることで、給食が不安な子に安心をつくり出すことができます。