〈質問13〉
授業を妨害する子どもがいたら、どのように対応しますか。
〈回答例〉
子どもの心をくみ取りながら、良いものは良い、駄目なものは駄目と、毅然(きぜん)とした姿勢で臨みます。
妨害する理由を聞き、妨害を止めるように指導します。子どもが受け入れないときには、隣の教室の教師や生徒指導担当、副校長など他の教師の応援を受け授業をします。一担任の問題にとどめないようにします。
授業終了後に個別指導を行います。カウンセリングの手法で、子どもの言い分を聞き、時間を掛けて荒れている気持ちを静める語り掛けを続けます。一度では解決が難しいと思われますので、粘り強く厳しさと温かさを持って対応していきます。
〈解説〉
子どもは教師の出方を見て、妨害の仕方や程度を変えてきます。社会で駄目なことは学校でも駄目と毅然とした姿勢で臨む強さを感じさせる良い回答です。力だけで押さえ付けるのではなく、子どもの心に揺さぶりを掛け、子ども自身に自分を見つめ直す力を付ける方法を示せることがポイントです。
〈質問14〉
学校に対して保護者が一番望んでいることは何だと思いますか。
〈回答例〉
私は、わが子が毎日登校を待ち望む学校だと思います。保護者は誰でも、わが子が学校から帰ってくるなり、「学校へ行きたい。早く明日にならないかな」と切望するような学校を願っていると思います。物的・質的環境への配慮が分かる中で、登校して「昨日の勉強の続きがしたい」「友達に会いたい」「先生に会いたい」と思われる学校です。
物的な環境では、常に整理・整頓され、施設・設備が管理され、安全が確保された学校です。
質的な環境では、「教科の学習は分かりやすく理解するまで教えてもらえる」「学級や学校の中で反社会的・非社会的な行動を察知したときには全教職員で真剣に取り組む体制が確立されている」「教員の身だしなみがよい」などの学校です。
〈解説〉
現実を直視し、子どもたちの夢と希望を育てるのが学校教育です。夢と希望をかなえる土台となるのは学力です。一人一人の子どもたちに各教科の学力を保証し、安全で安心してわが子を委ねることができるのは当然のことです。そのためには整理・整頓された環境が大事です。また、ささいないじめも絶対に見逃さないという感覚、強い姿勢がいいです。子どもを健やかに育成する愛情に裏打ちされた厳しさが伝わり好感がもてます。
〈質問15〉
学芸会・展覧会の内容を組み替え、学習発表会として実施しています。その準備のため、数人の児童が午後8時過ぎまで学校で作業をしたいと申し出てきました。どうしますか。
〈回答例〉
まず、午後8時過ぎまでの居残り作業を申し出た子どもたちの、学習発表会に対する取り組みの意欲を評価します。ただし、午後8時過ぎまでの居残り作業の申し出には安全確保を第一に2つの理由から許可できないことを伝えます。
学校はさまざまな教育活動を通して子どもの成長を助けているところです。当然ですが、大切な子どもの安全・安心が脅かされる事態には万全を期しています。しかし、時間外は下校時も通常と異なり、(1)不審者の侵入(2)交通事故(3)地震などの災害発生――などへの危機対応の不十分が予測できます。第二は、学習発表会の準備はクラス全員で計画的に取り組んでこそ成果が期待できるものです。全員で取り組む工夫・手だてを一緒に考え、助言してまいります。
〈解説〉
単に居残り作業を否定するのではなく、子どもたちの意欲を評価した上で、数人による時間外の居残り作業は安全確保の面から許可できないと丁寧に説明して断りました。大事なことです。
2008年の中教審答申「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進めるための方策について」に、安全に関する項目概要が6点あります。緊急時の的確な対応ができる校内体制、学校安全に関する教職員の資質能力の向上などは、大切な子どもたちを預かる教職員の安全・安心への意識にかかっているのです。