部活動の地域移行の動きに先駆け、2020年に小学校から保護者会による運営体制に移行した小学生ビッグバンド「八木山バンドサークル 夢色音楽隊」(仙台市)が7月22日から、楽器修理の費用捻出に向けクラウドファンディングを開始した。12月末までオンライン寄付募集サイトで支援を募っており、目標は100万円。指導を行うサックス奏者の熊谷駿さんは「修理やメンテナンスの費用は地域移行に伴う共通課題」と話し、理解と協力を呼び掛けている。
夢色音楽隊は仙台市立八木山小学校に通う3~6年生の児童で構成、大人数編成でジャズやポップスを演奏するビッグバンドだ。同小のクラブ活動として運営してきたが20年、教員の負担軽減に向け、運営体制を学校から保護者会に移行した。25年度は児童37人が所属。月2回・土曜の活動に加え、子どもたちは毎朝15分間の練習を行う「朝練」に励む。
共働き家庭の子どもたちにとって、「朝練」は学校の始業前に過ごす「朝の居場所」になっている。指導を行う熊谷さんは「1日15分であっても毎朝続ければ演奏技術は向上する。その狙いで以前から朝練を行ってきたが、最近は保護者のニーズを感じる」と話し、居場所問題の解決策として、部員増加にも影響しているのではないかと分析する。教育熱の高い土地柄もあってか、練習に立ち会うなど積極的に活動に関わる保護者も多いという。
地域移行から5年がたち、目下浮上しているのが楽器の修理・メンテナンス費用の問題だ。テナーサックスはさびだらけ、トロンボーンの部品は取れかけているなど、老朽化が顕著。活動費は月額2500円の部費で賄っているものの、修理費用まで捻出するのは難しい。そのためクラウドファンディングで集まった寄付金は、全楽器の修理・調整費や譜面台の購入費のほか、来年度以降の楽器の調整費として活用する予定だ。
熊谷さんは「ボロボロの楽器を使わざるを得ない状況は、公立学校の吹奏楽部では共通した課題」と話し、中学校の部活動についても「地域移行後、予算不足に陥ると状況はより悪化するのではないか。行政の継続的な支援や活動への助成制度があれば、子どもたちの文化活動はもっと生きたものになってくると思う」と強調した。
寄付募集サイトはこちら。