2017・18年告示の学習指導要領の一つの特色は、学習指導要領の総則にカリキュラム・マネジメントの用語を示し、組織的計画的に教育活動の質の向上を図ることを明確にしたことである。
告示に先立つ16年の中教審答申では、「教育課程を軸に学校教育の改善・充実の好循環を生み出す」取り組みとしてカリキュラム・マネジメントの実現が明記されていた。
総則では「第1 小学校教育の基本と教育課程の役割」及び「第5 学校運営上の留意事項」において「カリキュラム・マネジメント」が示されている。「第1」ではカリキュラム・マネジメントの3つの側面として次の点を挙げた。「教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと」「教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと」「教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくこと」の3つである。
総則の冒頭の「第1」の部分で示したことの意義は、教育課程編成に際して、教育課程の評価及び改善までを見通して、不断に学校教育の質向上を図ることの重要性を指摘した点にある。
3つの側面のうち、1つ目は教育課程の編成に際して、各教科など相互の関連を図りながら総則の第2の1で示している言語能力や情報活用能力などの教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成を目指すことを指している。
2つ目の側面は、教育課程が目指す目的や目標の実現状況を評価すること、また、教育課程の実施状況を評価して課題を見出し、改善を進めることを意味している。
3つ目の側面は、教育課程の実施に必要な人的な面や施設設備、環境などの資源についてその確保と改善を図ることを意味している。
「第5 学校運営上の留意事項」では、学校の組織として計画的にカリキュラム・マネジメントを進めること、また、法令で定められている学校評価と関連付けて実施することを示している。
具体的には、校長の方針の下に、校務分掌によりながら教職員がそれぞれの役割を分担しつつ相互に連携しながらカリキュラム・マネジメントを進めていく。教育目標の実現の視点から、指導計画や全体計画の作成と実施状況を評価すること、授業の運営と学習評価、指導と評価の一体化の状況などを把握すること、これらによって見出された課題の解決に向けた取り組みを具体化することが求められる。
一方、学校評価はその実施が学校教育法及び学校教育法施行規則で規定されている。文科省はこれらの規定を受けて「学校評価ガイドライン」(2016年改訂)」を作成している。「ガイドライン」には、教育課程及び学習指導に関わる評価項目が示されており、これらをカリキュラム・マネジメントに生かすことができる。カリキュラム・マネジメントの取り組みを通した教育活動の改善や質の向上を、学校評価に反映させて学校改善につなげていくことが大切といえる。