合格に向けー課題を説く③食物アレルギー 情報共有を図り具体的な対策を

合格に向けー課題を説く③食物アレルギー 情報共有を図り具体的な対策を
【協賛企画】
広 告

 学校給食における食物アレルギーに対しては2008年、文科省監修の下、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」が出され、それに基づく対応を取るよう指導されている。しかし、残念ながら12年12月、食物アレルギーを有する児童が、学校給食終了後にアナフィラキシーショックの疑いにより亡くなるという事故が起きている。

 食物アレルギーを有する児童生徒は年々増えており、面接でも「担任をする学級に食物アレルギーの子供がいたらどのように対応しますか」のような質問をされることも珍しくない。

 従前、学校給食に関わる危機管理は、食中毒の防止やウイルス性の感染の防止、また食材の安全や施設・設備、配膳台などによるけがの防止などが中心であった。これらに加え、食物アレルギー・アナフィラキシーショックなどに関する事前防止や発症時の対応について、管理職のリーダーシップの下、マニュアルを作成したり、研修をしたりして全職員が臆することなく適切に対応できるような体制を構築することが緊急かつ強く求められている。

 食物アレルギーによる事故の再発防止に向けた具体的な対応策としては次のようなことが求められる。

 ▽実態の把握と職員の確かな認識を深める

 管理職を含めた全職員一人一人が「どの子にも起こり得る」という認識の下、食物アレルギーを有する子供を把握し、全職員の共通理解、共通対応(見過ごし、ミスは許されない)ができるような体制を早急につくり上げる。

 ▽細心の注意を払った「除去食」「代替食」を用意する

 学校では、アレルギー疾患を有する個々の子供について事前の連絡・連携を図りながら、「除去食」や「代替食」などへの対応を積極的に行う。ガイドラインには基本方針として「全ての児童生徒が給食時間を安全に、かつ、楽しんで過ごせるようにすること」と示されており、「安全性を最優先し、栄養教諭や養護教諭、食物アレルギーの児童生徒を受け持つ担任のみならず、校長等の管理職をはじめとした全ての教職員、調理場及び教育委員会関係者、医療関係者、消防関係者等が相互に連携し、当事者としての意識と共通認識を強く持って組織的に対応する」ことを求めている。

 ▽実効性のある研修を実施する

 ガイドラインでは、「校長を責任者とし、関係者で組織する食物アレルギー対応委員会を校内に設置」「委員会では、校内の児童生徒の食物アレルギーに関する情報を集約し様々な対応を協議、決定する。また校内危機管理体制を構築し、各関係機関と連携や具体的な対応訓練や校内外の研修を企画、実施、参加を促す」とされており、食物アレルギーの未然防止の方策や有事の時の対応について、例えばエピペン(アドレナリン自己注射薬)使用の実地訓練など、より実効性のある研修を全職員で繰り返し実施する。また関係機関で実施する研修会には積極的に参加させるようにする。

 ▽児童生徒の食物アレルギーに関する学習を充実する

 食物アレルギーに対する正しい知識を全ての児童生徒が持ち、当該者を理解し、見守り、支援する環境づくりが大切である。食育・安全教育などにこの食物アレルギーに関する学習を位置付け、実践することが必要である。

 ▽保護者らとの連携を強化する

 事前に給食献立のチェックや個々の「学校生活管理指導表」などの活用を図り、双方の食い違いや見落としがないように、十分に連携する。当該保護者は「少しでもみんなと同じものを」という願いを持っているが、給食施設・設備の状況から完全除去などが不可能な場合もあることなどにつき保護者の理解を求める。時には主治医や学校医等と相談し、決して無理をさせないようにすることである。

 試験では、担任としてこれらの連絡、情報共有の軸として機能するとともに、保護者からの相談に十分対応して不安を持たせないよう努力することなどを強調したい。

広 告
広 告