場面指導にどう対応 好ましくない回答・好ましい回答から

場面指導にどう対応 好ましくない回答・好ましい回答から
【協賛企画】
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 学校生活、授業などにおける一つの場面を想定して、教員としてこの場面にどのように対応するかを問う場面指導。学習指導、生徒指導に関する場面指導の例を挙げて、「好ましくない回答」「好ましい回答」の例からよりよい対応を考えていく。

◎場面1

 逆上がりができない子供がいます。どう指導しますか。できた時にはどのように褒めますか。

【回答例】

 ▽好ましくない回答=教えた通りにしないからできない、地道に努力をしていない、などと責める。ようやくできたのに、「ずいぶん時間がかかったね」など冷やかな言葉掛けをする。

 ▽好ましい回答=結果は出ていないが、努力している行為、頑張りを認める。一斉指導の場だけでなく個別の指導の時間を作る。また、上手な指導のポイントを先輩や体育主任などから学び、速やかに逆上がりが指導できる力量を高めておく必要がある。できた時には、クラスの皆に見てもらい一緒になって喜んで上げるようにしたい。

【ポイント】

 子供の学習内容の理解には、理解の度合いや理解のスピードなど個人差がある。ましてや体育の実技ではすぐにできる子、できない子がはっきりする。つまずいている子、できない子への対処の仕方を具体的に問う設問である。

▽指導のポイント

 (1)まず基本は、このクラスで逆上がりができない子を冷やかすなどの言動がないように配慮したい。それには普段から「学校は学ぶところ」「できないことがあって当たり前」という学級づくりを心掛けるようにしたい。

 (2)できない子に対しては、その子自身による練習を促すことも大切ではあるが、「時間を取って個別指導する」「上手な子に教えさせる」などの手だてを講じる必要がある。

 (3)できた時の喜び、成就感・達成感は大きいものがある。それだけにできた時には、教師は子供と一体になって喜び、心底から褒めてあげたいものである。

◎場面2

 体育で跳び箱の指導をしていた時、子供が跳び箱から落ちて、頭部を強打しました。どう対応しますか。

【回答例】

 ▽好ましくない回答=跳び箱から落ちた子の頭部の様子を観察し、本人から確かめる。特に顔色も変わらず、痛がってもいないので、少し休憩させた後で跳び箱を続けさせる。

 ▽好ましい回答=落下した子の様子を直ちに観察し、本人から痛みや腫れがないか確かめる。その後、仮に大丈夫そうだと判断しても保健室に連れて行き、養護教諭にその後の対処を依頼する。その間、全体の子供には座って待っておくように指示する。

【ポイント】

 学習指導中のあらゆる場面で子供の事故は起きる可能性がある。ここでは、体育の授業中での事故に対して、受験者がどのような対応策を取れるかを具体的に回答することが求められている。

▽指導のポイント

 (1)落下した子の頭部の様子や本人からの確認で担任が大丈夫だと判断しても、専門的な立場から養護教諭の指導・指示を受ける。勝手に担任の見立てだけで判断しない。

 (2)脳震とうを起こしたり、腫れがひどかったりした場合は、直ちに養護教諭を呼び、その指示に従い、医師の診断を受ける必要がある。

 (3)特に首から上(後頭部、脊髄、歯・目・耳など)のけが・事故については、万一のことを想定して万全の対応、対策を取ることが肝要である。

 (4)「学校は安全で、楽しいところ」とするのが担任の最大任務である。従って、学校でのけが・事故などの防止については最善の注意を払い、事故対応を徹底する必要がある。

◎場面3

 ある子供はどこも体の具合がおかしいように見えないのに、毎日のように保健室へ行きます。担任としてどのように対応しますか。

【回答例】

 ▽好ましくない回答=わざわざ保健室に行くことのないように、強く言い聞かせたり、保護者にも協力を求めたりして、子供を苦しい立場に追い込んでしまう。

 ▽好ましい回答=該当の子供には何か心の悩みがあると受け止めて、養護教諭と緊密な連絡を取りながら原因となるものを取り除き、保健室通いがなくなるように気長に指導していく。

【ポイント】

 養護教諭は一般的に担任と違って、すぐに叱ったりせずに優しく話を聞いてくれ、心を開かせてほっとさせてくれる。だからこそ子供は安心して保健室に行きたがるのである。

 (2)まずは教室にいたたまれない子供の気持ち・心情を理解する必要がある。どこも悪くないのに保健室に行ってしまうのは、教室に心の居場所がないと受け止める。

 (3)養護教諭から「なぜそのようにするのか」「何を訴えようとしているのか」を聞き取り、子供の心を開いていく方策を練る。その時に養護教諭はもちろん学年担任や管理職の指導を受けて、独りよがりにしかも性急に対処しないように十分に配慮したい。

 (4)原因としては、「家庭での問題を引きずっている」「学級での友達関係がうまくいかない」「担任がその子に十分に目を掛けないことへの不満」「授業が分からない。または面白くない」などが想定できる。教師側も反省すべきことは反省する。

 (5)教室から出て行く子供が学級で増えてきたら、これは学級崩壊の前兆と考える。健康上の理由もなく保健室通いする子供が多い学校では、組織を挙げて真剣に対策を講じる必要がある。

 (6)不登校気味の子供のケースでは、上記の対策とは全く異なる。全面的に対象の子供の保健室登校を受け入れていく。どんな形でも登校できることを第一に考えることが重要。

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