これまで本紙面において繰り返し自己分析・自己PRの重要性を強調しているが、改めて自己分析の方法などについて言及しておこう。
今夏の採用試験実施要項は、多くの自治体では4月から5月に公表・配布される。受験する自治体の要項を速やかに入手して、内容をよく確認して的確に対応しよう。
特に、提出書類はいくつかあるので、遺漏のないようにしたい。自己PR文や自己推薦書の提出が必要な場合も少なくない。エントリーシートには特技や学生時代に力を入れたこと、留学やボランティアの経験などを記入させるケース、個人面接の前に面接カードに同様のことを記入させるケースもあり、これらはいずれも面接の際の資料になるのでよく考えてしっかりと記入したい。
自己PR文についてだが、要点は「自分のこれまでの経験、またはこれまでに上げてきた成果などが、教員として仕事をする上でどのように役に立つのか」を記すことである。つまり、自分の資質・能力がどのようなものであるかを伝え、それが教員という仕事に適しているということを分かりやすく説明して、自分を売り込むのである。一種のプレゼンテーションと思った方がよい。
あいまいな内容、表現ではなく、自分が頑張った事柄などを具体的なエピソードとともに述べることが大事であるとされる。たくさん書けばよい、というものではなく、大きな柱となるものを決め、そこから派生させて書く、という手もある。
アピールする事項については、「全てに根拠と前提を明らかにすることが大事」である。ポイントは、次の4点。
(1)前提となることをきちんと示す
(2)なるほどと思える話の展開を仕込む
(3)主張すべきことを絞り込む
(4)履歴書を見れば分かることや、在籍学科、取得した資格の名称を連ねることなどは避け、その資格をどのようにして取得したか、取得するまでの苦労体験などを盛り込み自己を語る
自己分析の初歩的な方法の一例を紹介する。「私は」で始まることをどんどん考えて、次々と書き出していく、というやり方がある。少なくても20~30くらい挙げてみよう。
「私は、ラーメンが大好き」「私は、人参がきらい」「私は、映画が大好き」「私は、身体を動かすことが好き」「私は、とても暑がりである」など何でも構わずに列挙していく。そのうちに種切れになるとよく考えながら書くようになり、かなり内面に触れる分析を書き連ねられるようになる。結果的に欠点が多く書き加えられていくのが普通である。
そのまま「私は……です」と述べてしまうのではなく、その表現を肯定的に、人が使わない表現を探し出して書いてみよう。また、プラスの面から捉えた自己の性格や行動、思考の傾向をまとめてアピールピントのリストを作るとよい。自己PRに使えるものがたくさん出来上がる。