教育実習で教師への意欲を固めよう――。コロナ禍もようやく沈静化の様相を見せるようになってきており、今年度は教育実習が従前のように行われるようになるだろう。通常であれば6月には、始まることとなる。学校教育現場を実地で体験することは、教員採用試験に臨む上でも多くの貴重な知識、技能、示唆を与えてくれるものであり、滞りなく準備をしておきたいものである。また、児童生徒との触れ合いの中から、教職のやりがいをぜひ感じ取ってもらいたい。
教育実習は、教員養成課程の中でも最も学ぶことが多く、最も重要で貴重なイベントだ。しっかりと準備し、しっかりとした意識をもって臨むことが求められる。
実習生を迎える側の校長に話を聞くと、いずれもが強調したことは、「準備をきちんとしてくること」「高い意識をもってくること」であった。教職課程で学んだ知識や技能を実践できる唯一の貴重な場である。また、実習中は、短期間であっても児童生徒からは、「先生」と呼ばれる立場である。実際は学生であっても、その立場に甘えることなく、万全の準備をして実習に臨んでほしい、ということである。
まず、4~5月には実習の受け入れ校で事前の打ち合わせとしてガイダンスが行われるが、その際に確認しておかなくてはならない。学校側から説明がなかったら、こちらから聞いておくことだ。
「校内に何があるのか案内して教えてもらう」「担当する児童生徒の名簿をもらって名前を読めるようにして覚えておく」「最寄駅から学校まで何分かかるか確認する」「校区の様子を歩いて見てみる」――この程度はぜひ押さえておきたい。
服装は社会人らしさを打ち出すこと。打ち合わせでもスーツとネクタイで訪問する。実習中も、体育の授業や何かの作業以外は、スーツとネクタイが基本。ビシッとした服装で授業を行う。気を付けたいのは、髪形。茶髪はやめて、黒い髪に直す。きついパーマも教員にふさわしくない。
あいさつも大事だ。打ち合わせに行くとき、実習が始まり職員室で紹介されるとき、朝礼で全校生徒に紹介されるとき、担当するクラスで自己紹介するとき、など自己紹介するいくつかのパターンを考えておこう。
基本は、「おはようございます。○○大学のA丘B子です。これから○週間、教師になるための勉強をさせていただきます。よろしくお願いします」という具合。あいさつする状況に合わせて、趣味、特技、エピソードを加えてもよいだろう。もちろん、「おはようございます」「失礼します」など校内のあいさつも忘れずに。
事前打ち合わせでは、実習中に指導する教科、単元を教えてくれるので、必ず事前に教材研究を行い、指導案や使用するプリント類などを作成しておく。指導案は大学の教科教育の教官に見てもらってもよい。
実習中は、教科の授業、学級指導、授業見学、合評会、給食指導、清掃指導、会議への参加、学校行事への参加など多様な内容があり、その上で実習記録を作成しなくてはならない。おそらく想像以上に多忙感があると思われるので、実習記録はためずに毎日きちんと付けておきたい。
1人の実習生に必ず1人の指導教官が付く。教科指導の基本的事項の指導、指導案の点検、授業後のアドバイスなどを行ってくれる。分からないことや意見を聞きたいことがあったら、遠慮せずにどんどん聞こう。
指導教官は多くの場合、中堅以上の教師なので、効果的な発問の仕方、教材の活用法など、授業のテクニック、コツなどを教えてもらうとよい。ただし、指導教官にとっては、本来の職務に加えてやってくれていることなので、感謝の気持ちを持ってお世話になろう。
実習期間中は緊張の連続で大変だが、最終日には児童生徒から「先生、がんばれ」と励ましの声を掛けてもらったり、小学校であれば「お別れ会」を開いてくれたりして、思わず感動の涙を流すこともある。
教員という仕事の素晴らしさを実感する貴重な体験であるので、心して臨んでもらいたい。
教育実習の際の主な持ち物
・筆記用具(メモを忘れずに)
・印鑑
・室内用の靴(スリッパ以外)運動靴
・体操服(ジャージなど)
・実習日誌
・指導案、プリント類(事前に作成したもの)
・ノートパソコン、タブレット(許可があれば)
・弁当(給食がない場合)
・湯呑みまたはカップ
実習校との事前打ち合わせにおける主な確認事項
[かなり重要]
・使用教科書
・実習中に教える単元・内容
・出退勤時間(出勤簿の扱い方)
・指導教官の名前(中高は教科名)
・担当する部活動
[重要]
・学校教育目標
・校長、教頭(副校長)の名前
・担当する児童生徒の名前(学年・クラス)
・時間割
・実習中のスケジュール(期間中および1日)
・授業で使う教材(ドリル、テスト、資料集など)
・学校の特徴
・校区の特徴
・会議(朝会、職員会議)
・実習中の学校行事
・服装
・昼食(給食の有無)
・あらかじめ予習しておいた方がよいこと