2024年度採用を目標とした今夏の教員採用試験は、ほぼ終了した。来年の採用試験まで、もう1年はないということである。来年度に受験を予定している人のために、試験の準備について見てみよう。
教員採用試験は、夏に行われる。試験の際の服装は夏物のスーツである。季節柄、夏物のスーツはいま、廉価で売っているだろうから、まず、夏物のリクルートスーツを購入しておこう。特に学生はこれまであまりスーツを着る機会がなかったであろうから、いまから数多く着る機会をつくって、本番までに着こなしておくのである。教採試験は社会人として認められるための試験でもあるので、見た目ではあるが社会人らしい雰囲気をしっかりと持っている方がよい。
教採試験は、1人で勉強するより複数の仲間でチームを組み、協力して勉強した方が効果的である。大学の同級生の教員志望者などとチームを組もう。身近で見つからなければネットなどで声を掛けてもいいだろう。
もちろん教壇に立つという同じ夢を持つ同士で励まし合うというのも心強いが、面接や論作文対策ではチームが必要だ。2人ではなく、できれば3人以上でチームを組みたい。例えば面接の練習で、1人が受験者、もう1人が面接官の役をして模擬面接をする。もう1人がそのやりとりをチェックする役割をして、いろいろ気付いた点を指摘すると、効果的な練習となる。面接重視の傾向が強い昨今の教採試験の対策として大変有効である。論作文も書き上げたものをお互いに読み合い、気付いた点を指摘し合うとよいだろう。
このチームに大学の教官や知り合いの教師などに参加してもらい、より実際的なアドバイスをもらえればさらに成果が期待できる。
面接試験では、話す内容はもちろん大切だが、同様に礼儀、マナーも重要である。社会人としての礼儀は、教採試験でも求められる。敬語、立ち居振る舞いなどは付け焼刃で身に付けても、ぼろが出やすい。来夏に向けて、いまから練習を始めよう。
言葉遣いは最も普段からの練習が求められる。注意すべき点は、「早口にならない」「口をしっかりとあけて話す」「会話の間を取る」「語尾上がり、語尾のばしに気を付ける」など。敬語に関する正しい知識を身に付けるとともに、具体的に多様な場面で積極的に使用し、慣れていくとよい。勉強チーム内で場面設定をして練習していこう。
受験する自治体は、もう決めただろうか。教採試験は、全ての都道府県および政令市で実施されているが、住民票のある自治体でなくては受験できない、などという制約は一切ない。地元で受験するか、大学のある自治体にするか、またはその土地で暮らしたいと思っていた自治体にするか、よく考えよう。最近の面接試験では、なぜこの自治体を選んだのか問われることが目立つ。理由をきちんと考えておきたい。
志望する自治体を決めたら、まずはその自治体についてよく知ることだ。筆記試験など試験の内容や形態は自治体ごとに異なるので、よく調べる。過去問題をそろえて分析することが求められる。過去2~3年分の問題も忘れずに入手したい。3年分くらいをチェックすると、どの分野がよく出題されるのか、などその自治体の出題傾向が分かってくるので、欠かせない取り組みである。
受験する自治体の教育に関する基本的なデータも調べる。小中高校の学校数、児童生徒数、教職員数のここ数年間の推移などは押さえておきたい。また、自治体では、教育に関する振興計画など基本方針的なものを打ち出しているので、これにも目を通す。
教育時事のチェックはすぐに始めよう。最近の教採試験では、教育時事に関する比重が高まっている。ネットなどを用いて早くから多様な情報を収集しておいた方がよい。そして、その時事に対して自分はどのような考えを持っているかを記す、というもの。知識として覚えるだけではなく、それぞれの事項に関して自分の考えや意見をまとめる癖を付けるとよい。