教師の仕事を考える 多忙だが、やりがいはある

教師の仕事を考える 多忙だが、やりがいはある
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 ようやくコロナ禍が落ち着きを見せ始め、学校現場にも従来の教育活動が展開される様相となってきた。教師には、授業や生徒指導だけではなく多様な業務があり大変多忙である、との指摘が多い。教員志望者は、教師にはどのような業務(校務)があるのかを理解しておく必要がある。ここで受験準備の一つとして、教師の具体的な仕事を見てみよう。

1日の在校時間は10~11時間

 まず、教師の勤務実態を、文科省の「教員勤務実態調査(令和4年度)」からチェックしてみる。調査は、2022年度に実施し、前回調査(16年度)との比較も行っている。10月の後半から11月後半までの勤務実態を見ると、管理職ではない一般教諭の1日の平均在校時間は、小学校で10時間45分、中学校で11時間1分、前回調査より小で30分、中で31分減少していた。1週間当たりの在校時間については、教諭は小で52時間47分、中で57時間24分、やはり前調査よりは減少傾向。教諭の平日の在校時間における業務内容別の時間は、小中ともに「授業(主担当)」の時間が最も長く、次いで「授業準備」「生徒指導(集団)」の時間が長い。家で仕事をする「持ち帰り時間」について、平日では小が37分、中が32分で、共に前回調査より10分前後増加している。

 調査では、「前回調査と比較して、平日・土日ともに、全ての職種において在校等時間が減少したものの、依然として長時間勤務の教師が多い状況」とまとめている。

 一般企業のビジネスパーソンの勤務と比較するのは難しいが、勤務時間に関しては教師の方が多い、とは言いにくいのではないだろうか。ただ、持ち帰って仕事することは教師の方が多い、と言えるか。

仕事は学習指導、生徒指導など6分類

 教師の仕事の内容は大きく分類すると、学習指導、特別活動、生徒指導、学校運営、外部対応、研究・研修の6つである。これは主なものであり、実際にはこれ以外の業務も存在する。

 メインの仕事は授業、学習指導である、と言っていいだろう。その授業をするためには、教材研究、教材作成、指導案作成など日々多様な準備に取り組まなくてはならない。また、指導後には評価と成績処理を行う。評価にはテストだけではなく、提出物のチェックや日常の観察をまとめる必要がある。前述のように、持ち帰りの業務の多くは、この授業準備と成績処理である。

 また、生徒指導は、集団、個別ともに大変重要な仕事である。いじめなどをはじめ生徒指導上の諸問題がますます深刻化する中、この生徒指導に係る比重が増えている。特に担任を持てば、学級経営関連の業務が飛躍的に増えてくるのである。

 学校運営上、各教師に課せられた校務分掌も軽く見てはいけない。組織の一員として、積極的に取り組まなくてはならないのである。最近は、保護者や地域への対応も重要な仕事となってきている。

一人一人へのきめの細かい指導を

 教師の1日は、どのようなものだろう。小学校若手教師の平均的な1日をまとめた。

 少し細かく述べると次のようである。

 ▽5時30分 起床

 ▽7時 通勤

 ▽8時 出勤~朝の打ち合わせ

 通常は8時前までには出勤。当日の授業準備などを行う。朝の打ち合わせでは教職員全体でその日の連絡事項を確認するほか、教員同士で授業や児童生徒のことなどについて情報交換、相談などを行う。学年ごとの打ち合わせを行う場合もある。

 ▽8時20分 学級指導

 ▽8時45分 午前授業

 1時間目が始まれば、授業を行う。

 授業と授業の間の休み時間は、宿題を点検したり、連絡帳の返信を書いたり、回収した提出書類をチェックしたりする。または子供たちと積極的に話し合い、子供同士の人間関係を把握したり、学級の状態をつかんだりして一人一人へのきめの細かい指導を心掛ける。

 ▽12時15分 給食準備~給食~片付け

 給食の準備は、主に子供たちの配膳を見守る。準備ができれば子供たちと一緒に教室で食事をとる。食事後は全員で片付ける。

 ▽12時55分 清掃指導~昼休み

 教室、トイレ、特別教室など子供たちが班ごとに掃除を行うので、教師は一緒に掃除をしたり、見回ったりする。昼休みは、職員室で事務処理や授業の準備をしたり、または教室や校庭で子供たちと遊んだり、話したりする。

 ▽13時35分 午後授業

 ▽15時15分

 6校時終了~帰りの会

 帰りの会では、保護者への連絡事項やプリントの配布などを行う。学級の係から連絡事項の伝達、教師からその日のまとめの話などをする。

〇定時で帰宅は難かしい

 ▽15時40分 分掌事務、各種会議~学級事務、教材研究

 学校運営上、各教師に課せられた校務分掌も軽く見てはいけない。組織の一員として、積極的に取り組まなくてはならない。

 これら以外にも個別の相談や指導、各種の打ち合わせなどがあり、学校では落ち着いて教材研究はできないので家に持ち帰って取り組むことが多いという。さらに突発的な事故などへの対応もあり、定時に帰宅できるということは大変少ない。

 ▽19時30分 退勤

 ▽20時30分 帰宅~食事~入浴

 この後、教材研究など翌日の授業の準備を行い、就寝は大体23時30分ごろになるという。

 このように多忙ではあるが、「教師になりたい」という情熱を持って教師になった者が少なくない。先述の調査でも、教師としての「生活」「仕事」「雇用の安定性」「給料以外の待遇や処遇」などについて満足度を聞いているが、満足している者の割合の方が、満足していない者の割合よりも高い。多くの教師がやりがいを持って日々の仕事に取り組んでいるようだ。

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