【学びの手段は、多い方が面白い(3)】工夫を凝らした自作のオンライン動画

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 担任教師によるオンライン動画配信の経緯は前回お伝えしたが、今回はその内容について詳しく紹介する。

 オンライン動画を自校で制作するには、各教員の協力が不可欠であった。動画配信までには、動画内容の検討、動画の収録、動画をホームページにアップ、アップしたことを家庭にメールで配信など何段階もの工程が必要となる。もしここに、学年主任や教科主任、管理職によるチェックが入れば、数日は配信が遅れるであろう。さらに、「ここの言い回しが良くないので撮り直し」などとなれば、収録した教員は「今までの苦労が水の泡」と感じ、やる気もなくすに違いない。

 そのため、本校では管理職等のチェックは行わず、タイムリーに配信するため完成度を求めないよう伝えた。実は何人か保護者から、「説明が間違っているのではないか」との問い合わせがあった。もちろん真摯に受け止めはしたが、事情を説明し、配信を止めることはしなかった。

 動画配信を行うときの留意点として、完成度を求めないこと、デジタル教科書だけを使えばよいことなどを説明をしたが、本校の教員は実に創造的で、家庭科の裁縫の手本を見せたり、体育のダンスを学年全員で踊ってみたり、国語でタケノコが出てくる場面で自宅のタケノコを掘っている様子を撮ってきたり、英語のスキットを実際に複数名の先生に協力してもらって撮影したりと、どれもワクワクするような動画になっていった。

家庭科では裁縫の手本を動画で配信
家庭科では裁縫の手本を動画で配信

 自校でオンライン動画を制作することのデメリットとしては、「先生方の負担が増える」「有料コンテンツの方が見栄えや完成度が高い」などが挙げられる。一方、メリットとしては、担任が発信することで、今年度はこれまで数時間しか会っていない担任との距離感を縮めることができる。また、学級の実態に応じた進度で、授業を進めることもできる。さらには、新任教員や若い講師にとっては、経験のある先生の授業を間近に見たり一緒に撮影したりすることができる。こんな素晴らしい実際的な研修は今までなく、大いにスキルアップしたのではないだろうか。

 ホームページの閲覧数を見ると、コロナ以前は多くても1日200アクセス程度であったが、ゴールデンウィークには1日1万6千を超えるアクセスがあるなど、多くの学園生が利用したことが分かった。つくば市では多くの学校がオンライン学習を実施したため、一時は教育委員会のサーバーがダウンしてしまったが、迅速に増強してくれたため、オンライン学習を続けることができた。コロナ第2波に向けて、オンライン学習が未実施だった教育委員会や学校は、今後、早急に手立てをしておく必要がある。

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