【学校保健のミッション(3)】ストレスにさらされる子供たちの心

【学校保健のミッション(3)】ストレスにさらされる子供たちの心
【協賛企画】
広 告

 コロナ禍において、子供のストレスを心配する声が聞かれます。コロナ禍は子供たちの「心」にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。前回に引き続き、養護教諭の声を手掛かりに見ていきましょう。

 まず、子供たちの多くが学校再開を喜んでいることは確かです。一方で、私の調査では、約6割の養護教諭が不登校や保健室登校、登校しぶりなどの不適応傾向を示す子供、精神的に不安定な子供が「増えた」と答えています。これは小・中・高の種別に関係なく、同様に見られる傾向です。

 背景要因として多いのは、「休校中の生活リズムの悪化」や「休校中のゲームやネットの過剰使用」、「長期の休みによる登校意欲の低下」です。心への影響を指摘している養護教諭の8割前後が、これらを挙げています。

 次に多いのが、「休校中の行動制限(外遊びや交流など)」、「休校中の家庭内の親子関係等」の影響です。いずれも休校中の生活習慣やストレスの影響が、その後も継続している点に注意が必要です。子供を見守る大人としては、「生活習慣は乱れていないか」「親しい人と関われているか」「運動は足りているか」「家族との関わりはどうか」などにアンテナを張りながら、徐々にでも改善を図ることが大切です。

 また、大人のイライラが子供に影響することもあります。大人がストレスを上手に制御することは、子供にとっても大切なことなのです。

 学校が再開しても、「密」にならないように友達との関わりは制限されます。マスクの息苦しさや、夏休みの短縮で暑い中での登下校は心身ともにつらいでしょう。じわじわとストレスが蓄積する可能性があります。

 ある中学校の養護教諭の話です。今年度の初めは、例年にないほど多くの1年生が、不調を訴えて保健室に来室したそうです。スクールカウンセラーと調べたところ、「不安感の強い生徒」と「頻繁に保健室へ来室する生徒」が見事に一致したそうです。もちろん、新年度の緊張や不安は毎年のことですが、その養護教諭は「例年は、部活動紹介など、年度初めに体育館に集合してガイダンス的な説明を受けながら、少しずつ学校を知っていく。でも、今年度は『密』対策で、教室で簡略に済まされた。そのことが影響したのではないか」と見ています。

 「中1ギャップ」という言葉もありますが、実は入学直後に行われる例年の行事や活動が、安定した心で中学生活をスタートする上で重要だったことが分かります。

 Withコロナの学校では、「密」を防ぎながらもこういった機能をどう代替するかを考えていく必要があるでしょう。

広 告
広 告