【学校保健のミッション(6)】持続可能な対策を目指して

【学校保健のミッション(6)】持続可能な対策を目指して
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 感染予防対策と質の高い学びの調和を図って、いかに子供の成長を保障するか――前回、これがWithコロナの学校における重要な課題だと述べました。これは、「学校保健のミッション」でもあり、コロナ後を含めた学校の課題でもあります。

 この連載では、これまでいくつかの視点を取り上げてきました。例えば、「子供の健康や発達」、「先生たちの負担・疲弊」、「良い教育・学びの在り方」、そして「学校における感染防止」。これらに全てプラスに作用する取り組みがあれば望ましいのですが、「感染防止対策の徹底」がしばしば「学びの制約」や「先生の疲弊」につながるように、そうはなっていないのが現状です。子供の学びや発達にマイナスに作用したり、歯を食いしばる先生たちの努力にのみ頼ったりすることがあってはなりません。

 児童生徒が新型コロナに感染したとの報道はあるものの、子供は感染しにくく、重症化しにくく、他人にうつしにくい傾向があると言われています。もちろん、安心していいと言っているわけではありません。学校での感染拡大を想定し、マスクの着用、消毒、3つの密の回避、換気などの予防対策をしながら、子供の学びの充実と先生の負担軽減などの両立を上手に図り、総体としてより良い効果を導いていく工夫、すなわち「持続可能な対策」が必要であると考えます。

 例を挙げてみましょう。授業に話し合い活動を取り入れることはとても重要です。話し合いに入る前にはマスクの着用状態をしっかりと確認の上、窓を広く開けて風を通しながら始めます。換気のタイミングも話し合いに合わせます。黙って受ける授業よりは、リスクはいくらか高まるかもしれませんが、リスクを極力抑えつつ、話し合いを取り入れた授業を展開できる可能性があります。

 また、登校時の健康観察、マスクの着用、頻繁な換気によって、ウイルスを含む飛沫(ひまつ)が教室内に広く飛散する可能性を低くできます。そうすれば、先生たちに多くの負担をかけている机や椅子の消毒の回数を減らしたり、省略したりすることもできるかもしれません。接触感染のリスクが高いドアノブや手すりなどを集中的に消毒するなど、効率的に作業することもできるのではないでしょうか。もちろん近隣の感染状況を踏まえながらです。

 長期化が予想されるコロナへの対策において、全体として有効に機能させる持続可能な対策に向けて、「徹底する」対策から「調和を図る」対策へのシフトが求められます。

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