【教室には愛がいっぱい(8)】「あそび教室」恒例のイベント

【教室には愛がいっぱい(8)】「あそび教室」恒例のイベント
【協賛企画】
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 いもいもには、本当に多様な子供が通っています。考えることが大好きな子、おしゃべりが好きな子、勉強が得意な子や苦手な子、学校に行けていない子。そうした子供たちに対し、私たちいもいもスタッフが教室で何かを求めることはありません。私たちスタッフは、子供たちが「ありのままでいいんだ」と感じられるための空間をつくり出し、自発的に「こんなことをやってみたい」という気持ちを引き出す手伝いをしているのです。それだけで、子供たちは主体的にいろいろなことを学び、私たちが何も言わなくても、良い方向にどんどん進んでいきます。

 私が担当する「あそび教室」にある日、料理が得意な子が大きなバッグを持ってやって来ました。教室に到着すると、なにやらゴソゴソとボウルやおたま、紙コップやカットした果物などを準備し始めます。みんな、何ができるのかとワクワクしながら見つめていました。そして完成したのがフルーツポンチ!みんな大喜びです。

 その子が家から持ってきた大きなバックには、食材や調理器具、フルーツを冷やす保冷剤などが入っていました。サイダーも冷えたものを出すため、教室の近くの自販機で買うなど一つ一つの行動に、私たち仲間への愛があふれていました。味はもちろん、とってもおいしかったです!

 でも、何より一番驚いたのは、その子がフルーツポンチを食べなかったことです。「どうして食べないの?」と聞くと「苦手なフルーツがあるから食べられない」とのこと。100%誰かのためにしてあげたいと思ってしてくれたことだったんですね。今思い出しても涙が出てきます。

 この子の行動には、他の子も影響を受けていました。次の教室の時、みんな何か食べ物を作ってきたんです。その後、この「作ってきたものを食べる」という時間は、「あそび教室」の恒例となりました。今では全員が全員の好き嫌いを把握しています。

 自分が何かをすることで喜んでくれる人がいるということで、子供たちのモチベーションはグングンと上がり、作ってくる食べ物のレベルも上がっていきました。その後も、ある子が一人暮らしのスタッフのために栄養バランスのとれた料理を持ってきてくれたり、手づくりのケーキやクッキーでクリスマスパーティーを企画したりと、子供たちも私もかけがえのない時間を過ごしてきました。

 勉強ができるようになったり、コミュニケーションがうまく取れるようになったり、学校に行けるようになったりするために、いもいもがあるのではないのです。

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