【学校保健のミッション(8)】予防へのやる気を高める環境づくり

【学校保健のミッション(8)】予防へのやる気を高める環境づくり
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 私は、学校における新型コロナ対策の主軸は「こまめな手洗い」だと考えています。

児童生徒が「しっかり洗うことの大切さを理解して」「しっかりした洗い方で」手を洗うことが大切です。全国一斉休校のときは、学校で指導する余裕がほとんどないまま休校になってしまいましたが、私たちの中学生へのアンケートによると、休校に入った後、子供たちの新型コロナ感染症への予防意識は向上していました。それでも、中には手洗いの意義や有効性を十分に理解していない子供も見受けられます。学校で「なぜ」「どのように」手を洗うのかを、繰り返し丁寧に指導してもらいたいと思います。

 コロナ禍の今、手洗いについて子供たちの理解と習慣化を図ることは、新型コロナ対策のためだけでなく、コロナ後も含め、生涯の感染症予防の基礎になります。また、人々の毎日の予防行動こそが、世界的なコロナ禍を克服する最も有効な鍵であることを知ることで、世界の問題を自分事として考えるきっかけにもなるでしょう。コロナ禍での学びを、生涯をたくましく生き抜く力へとつなげていきたいものです。

 しかし、「手洗いをしましょう」と呼び掛けるだけでは十分ではありません。子供の気持ちになって環境づくりをすることも大切です。

 休み時間が終わって遊びから戻ってきた子供は、授業に遅れないように手洗いはサッと済ませて教室に向かいたいでしょう。しっかり手洗いをさせるには「時間を見計らって遊びを早めに切り上げる」ことを暗黙のうちに子供たちに求めることになります。楽しいことを早めに切り上げるには、かなりの心のコントロールが必要です。

 子供にとって手洗いは、休み時間が忙しくなったり、流し場が混んだり、単純に面倒だったりと、多かれ少なかれ心の負担になるものです。有効な手洗い行動につなげるには、手洗いすることを思い出したり、手洗いしたくなったり、しやすくなったりするような環境を整えてあげることが大切です。

 具体的に、「休み時間終了の予鈴を早めにして遊びを切り上げるきっかけをつくってあげる」「子供が手洗いするための時間を先生が確保する」「流し場が混雑しないようにルールをつくる」「手洗いのタイミングをルーティーン化する」「先生が手洗いを見守って『上手に洗えているね』と褒める」「友達との誘い合いを褒める」など、子供のやる気を支え、成功体験を引き出す環境づくりをすることが大切です。

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