【いじめに向き合う学校(10)】これからのいじめ防止対策

【いじめに向き合う学校(10)】これからのいじめ防止対策
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 2013年にいじめ防止対策推進法が施行されてから、9年がたちます。しかし、自死事案や重大化してしまう事案は後を絶たず、増え続けています。事案が公になると必ず学校や教育委員会が批判され、問題視されますが、そのような声が上がるのも一時的で、次第に事案は風化し、また新たな事案が発生して同じような現象が繰り返されます。学校や教育委員会が問題視される点についての徹底した原因究明もなく、目に見える改善もされないように思います。

 日々、全国から相談やサポート依頼を受け、さまざまな現場に関わっていると、その実態も見えてきます。問題が重大化したり、長期化したりしてしまう原因は、一つ、二つに限ったものではないように感じます。学校や教育委員会が適切に対応できていない現場も確かにありますが、保護者の言動により状況が悪化しているケースや、教員不足、業務の多忙により対応が遅れてしまうケースもあるなど、原因はさまざまです。

 また、このような実態があまり知られていないことも事実です。特に当事者である子どもたちがどのように感じ、何を求めているかなどが定期的に調査されることもないため、「子どもたちのために」と作られる法律や制度が、実体を伴ったものになっていないようにさえ感じます。

 子どもたちが確実に守られ、どの子も被害者・加害者にさせないようにするためには、法律や制度の策定に関わる方々が現場の実態を的確に把握し、実体を伴った仕組みを作っていくことが大事ではないかと思います。

 また、学校や教育委員会に適切な対応を求めるのであれば、まずは対応に当たる先生方が抱える過剰な業務量や教員不足などの問題を解消し、一人一人の子どもたちに向き合える時間や余裕をつくることが何よりも必要だと思います。

 いじめ問題への対応に関しては、学校や教育委員会のみならず、保護者の理解や協力が不可欠です。保護者の言動によって長期化してしまう事案への対策も必要であり、国や自治体においては偏った議論ではなく、学校・教育委員会・保護者それぞれの問題を提起していくことが重要です。

 子どもたちが大人の事情や都合により、犠牲になることがないよう切に願っています。

 (おわり)

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