【対話型ワークショップ(12)】大切にしたい考え方

【対話型ワークショップ(12)】大切にしたい考え方
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 「もし、私たちが生徒に昨日と同じように今日も教えるならば、私たちは子どもたちの未来を奪っているのです」

 ジョン・デューイはおよそ100年前に、このような言葉を残しています。

 私たち教員に求められることは、未来を見据えて学びを創造していくことです。前例踏襲で同じことを繰り返す変われない現代の学校は、子どもたちの未来を奪ってしまっているのかもしれません。しかし、それを一人一人の教員の問題と言えるでしょうか。誰も子どもたちの未来を奪うことを目指して教育をしているはずがありません。

 これまでの教育の歴史や仕組みなど、システム的な課題の全てが現代の教員に押し付けられていると私は感じています。だからこそ、対話が必要なのです。対話を通じて自分たちの価値観をアップデートし、目的を合意し、未来へつながる学びへと接続する。この営みがあなた自身を変え、職員室を変え、教室を変え、学びを変えていきます。全てはあなた自身から始まるのです。そして、その先に子どもたちの未来があるはずです。

 そもそも私は、心理的安全性を高めるために対話型ワークショップを選択したわけではありませんでした。「なんとか目の前にいる先生たちが創造性を発揮できる学校にしたい」「子どもたちの創造性を育む学びをつくりたい」という思いからでした。そこを目指して対話を通じたプレイフルでクリエーティブなワークショップを実践していく中で、いつの間にか職員室の心理的安全性は高まっていました。心理的安全性は、目的ではありません。結果として成果の出る組織に備わっている素質だと感じています。未来を切り開く子どもたちの学びを最大化したい――そんな私たち教員の願いを組織的に編み上げていくことが求められています。そのための対話型ワークショップなのです。

 最後に、ワークショップを一人でデザインすることもファシリテートすることもお勧めしません。誰か気の合う仲間と一緒に「あーだこーだ」と話しているときに、突然プレイフルなアプローチが舞い降りる瞬間があります。一人で抱え込まずに誰かと一緒にワークショップを「創る」活動をする。そうしたことも職員室の協働性を高める一助となり、そのプロセスが最も大きな学びとなるはずです。

 もちろん、対話型ワークショップだけで学校を変えられるわけではありませんが、皆さんが自分らしく、自分たちの学校を編み上げていくための一つの手段として、対話型ワークショップが実践されることを願っています。

 (おわり)

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