【もっと自由に、もっと深く学ぶために(4)】新しい授業スタイル② MP(マイプラン)学習

【もっと自由に、もっと深く学ぶために(4)】新しい授業スタイル② MP(マイプラン)学習
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 「子どもがする授業」として、自学・自習に次いで取り組んだのがMP(マイプラン)学習です。一般的には「単元内自由進度学習」と呼ばれています。導入に当たっては自学・自習と同じプロセスを踏み(第3回参照)、まず高学年で試行し、ネーミングも依頼しました。そうして決まったのが「MP学習」でした。この呼称に決めた理由は「この学習は計画(プラン)することが大切で、自分に合わせて自由に計画を変更できるのが面白いから」とのこと。1回実施しただけでこの学習の肝を捉えたことに私は驚き、全校でこの呼称を用いることにしました。

MP学習の様子。仲間と共に学ぶ空間だからこそ、自分の計画・ペースで安心して学ぶことができる
MP学習の様子。仲間と共に学ぶ空間だからこそ、自分の計画・ペースで安心して学ぶことができる

 MP学習では、複数の教科の内容を並走させる形で15時間程度の単元を作ります。原則として、各学期に一度行います。単元の始めに、単元の目当て・およその流れ・標準的な時数・活用する資料などを記した「学習の手引き」を配り、教師が説明します。教師が子どもたちに直接指導できるのはここまでです。ここから先は、子ども一人一人が計画を立て、状況によって計画に修正を加えながら、学習を進めていきます。それぞれの教科にどれだけの時間を使うのか、どんな順番で取り組むのか、何の資料を使って学ぶのか、どこで学ぶのかなどは個々の子どもに委ねられます。

リサイクルの椅子を組み合わせて机にしながら学習する子どもたち。「どこで」「誰と」「どんなふうに」学ぶのかも自分で決める。
リサイクルの椅子を組み合わせて机にしながら学習する子どもたち。「どこで」「誰と」「どんなふうに」学ぶのかも自分で決める。

 MP学習では、学ぶ内容はあらかじめ決められていますが、学び方は自分で決めることができます。どの子もみんな、「分かるように・できるようになりたい」と思っています。しかし、みんなが同じような速さ・方法で学び、全員が理解できるわけではありません。

 学び方には、それぞれの得意があります。普段の一般的な授業では、集団・みんなで問題を解決していきます。学び合うことは大切ですが、問題解決の過程に「自分」がどれだけ関わることができたのかと考えると、手応えが薄いこともあります。一方、MP学習では自分が考えた計画・ペース・方法で、納得できるまで学んでいくことができます。そのため、単元の学習をやり遂げた時には、どの子も学びへの自信を深めることができます。

 MP学習に対しては「せっかく学校に来ているのに、一人学びではもったいない。孤立につながるのではないか」という声も聞こえてきます。しかし、MP学習に取り組んだ子どもたちのアンケート結果を見ると、「仲間と学び合うことができたので楽しかった」と答えた子どもが3割を超えていました。子どもは支援が必要なときは自分から仲間や教師に関わりを求め、納得すればまた自分の学びに戻っていきます。つまり、個の学びが充実することによって、集団の聞き合い・学び合いが自然に生まれてくるのです。

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